プルトニウムの混合原子価が発見される〜安全な廃棄物処理を目指して

橋も棒にもかからない最悪の核廃棄物が定着しているプルトニウム。核兵器材料となるPu239の半減期は2万4000年である。超ウラン元素であるプルトニウムは核反応生成物として知られるが天然ウランにもごく微量含まれる。しかしその性質を始めまだよくわかっていないことが多く、謎の多い物質である。一つには核兵器の原材料であるがゆえに、その研究の制約が大きかったためである。

  

フロリダ州立大学の研究グループの20年にわたる研究によると超重元素であるにも関わらず、プルトニウムはその有機化合物が軽金属有機化合物とよく似た化学的性質をもつという(Nature Chemistry 08 May, 2017)。研究グループは繊維金属元素に見られる混合原子価(2個のプルトニウム正イオンの間を行き来する電子)の可能性を検証した。これははるかに質量の小さい遷移金属有機化合物にも見られる現象である。

この研究成果のヒントはプルトニウムが化学状態に依存して多彩な色を示すことだった。プルトニウムが遷移金属と似た有機化合物を作ることが何故、重要かというと、金属単体では扱いにくい元素でも特定の化合物を作ることで、化学的性質を修飾して廃棄物処理に化学反応を利用できるからである。

 

遷移金属の価電子がd-電子であるのに対して超ウラン元素のプルトニウムはf-電子となる。Pu(III)、Pu(IV)イオンに対して局在性が強いとされるf電子の非局在的挙動(混合原子価)が実験と計算によって示された。これらの化合物(注1)では金属から配位子への電荷移動が観測される。

f電子の磁性など物性研究は他のアクチノイド金属で古くから盛んであるが、プルトニウムの研究はなかった。研究したくて法令で規制が厳しいためである。

(注1)Pu3(DPA)5(H2O)2 (DPA=2,6-pyridinedicarboxylate)

nchem.2777-f1

 

Credit: Nature Chemistry

 

廃棄物処理に有効な化学反応はこれらの遷移金属アナログを使って実験室でも開発できるため、今後のプルトニウムは例外的な金属ではなくな理、有効な手順が確立すれば、安全な化合物として分離、長期保存も可能かもしれない。腐食の進む金属単体として、あるいは反応性の高い化合物としては貯蔵ができない。

恐ろしいプルトニウムにもf電子金属としての特性は潜んでいたということになる。

 

 

コメントを追加

セキュリティコード
更新

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.