CTBT-IMSによる核実験と原子炉事故の監視網

包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty、CTBT)について知らない世代も増えている。しかし相次ぐ北朝鮮のミサイル実験と予定されている核実験の脅威が高まっている。核実験のしょうことなる放射性核種の観測はどのように行われているのであろうか。ここではCTBTについて復習し、CTBT監視網による核種モニタリングについて簡単に説明する。

 

未完のままのCTBT

CTBTは宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる空間での核兵器実験を禁止する条約で、冷戦後の1996年9月に国連総会で採択された。日本を含む182国が署名、157国が批准しているものの、最も影響力を持つ核兵器保有国を含む44カ国の批准がなされていない。もちろん北朝鮮はパキスタン、シリアとともにCTBTに署名していない国のひとつである。

CTBTに対応して放射性核種の監視を行うため外務省、文部科学省、気象庁が連携して観測網と分析センターを維持していることはあまり知られていない。そのひとつであるJAEAの核不拡散・核セキュリテイ総合支援センターはCTBTの国際監視制度(IMS)の一環として高崎にCTBT観測ポストを設置している。高崎ポストは2013年4月8-9日に放射性キセノンガス(Xe131m、Xe133)を最大2mBq/m3検出した。バッックグラウンドを超える数値上昇は北朝鮮による核実験の影響と推測されている。北朝鮮による核実験の経緯については外務省のサイトが詳しい。

 

Xe133の半減期は5.25日。β崩壊でCs133に崩壊する。U235やPu239の核分裂生成物としてCs131と同程度生成されるが、トラップされないので大気中を拡散して遠方で核反応を検知することができる。

 

高崎IMS監視ポスト

高崎IMS放射性核種監視ポストは福島第一事故でも放射性核種の観測を続け、Xe133の観測で福島第一から放出されたプルームの核種が、ジェット気流に乗ってカムチャッカ半島、北米、北大西洋、欧州、シベリアと北半球上空を約12日で一周したことが明らかになった。下図に示すようにXe133は朝鮮半島から日本の中央に移動する。事故後3カ月で希釈されバックグラウンドに戻った。

 

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Credit: fukushima-diary

このように核実験でも原発事故でも放出される放射性希ガス原子は反応性が低いためトラップされずに地球上の広範囲な地域で観測される。今回の核実験は4月中旬に予定されているが、実施されれば地震情報と核種計測により検知される。後者については米軍の空中での大気サンプリングで一早い情報がもたらされる。2013年2月の北朝鮮の核実験の各種が高崎ポストで観測されたのは4月であり、2カ月の遅れがあった。リアルタイムの情報は地震波が有効である。

 

2013年2月の北朝鮮の核実験では気象庁から官邸の危機管理センターに核実験を震源とする地震波観測の報告が入った。その特徴はマグニチュード5.2で深さ0km、自然地震ではないものであることがわかり、IMS高崎ポストの核種観測と合わせて核実験の可能性が高いことが結論された。なおIMSポストはJAEAのほか日本気象協会も地震観測所とともに連携して運営されている。国際的なIMS監視網を下図に示した。

 

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Ctredit: ideo.columbia.edu

 

参考

CTBT監視網による大気中の人工放射性核種の測定(ぶんせき2011 8 451

 

 

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