スマートメーターの功罪〜便利さの代償とは

電力会社がある日突然やってきてスマートメーターの設置を促される。無料だし検針作業も面倒だろうと思い、ついつい交換を許していませんか。スマートメーターというのは自動的に電力使用状況を電力会社に電波で送信する機器で携帯端末のようなものだ。

  

スマートメーターとは

スマートグリッドと呼ばれる次世代電力網では各家庭の電力使用状況(電圧、電流)を一定時間ごとに計測し電力会社に送信するセンサーに支えられる。センサーで得られたビッグデータは柔軟な電力送電に用いられピーク電力対策に有効である。上無駄な発電がなくなって大規模な節電効果が得られる。また災害時の電力供給にも役立つ。結果的に消費者の恩恵は約束されているかのように見える。

日本のスマートメーター導入は契約電力500kW以上の特高・高圧大口契約者では8割、500kW未満の高圧小口契約者と低圧(一般家庭)では2%にすぎない。9電力を合わせて一般家庭の設置台数は7,700万となっている。つまり設置は遅れている。

一方米国では昨年、6,500万台のスマートメーターが設置されたが、そのうち5,700万台が一般家庭向けである。しかしWiFi普及が進んでいるはずの米国で、この機器が送信するマイクロ波の人体への影響が無視できないとした批判的な意見が多くみられる。

すでに携帯の電波、WiFi電波、自然のバックグラウンドと様々な電磁波環境下に置かれている我々にとってこの機器はどのような脅威となるのだろうか。

 

電磁波による癌発生リスク

この問題に対してWHOも健康被害(癌発生リスク)の危険性を認めていおり、米国癌協会もリスクを否定しない。米国の場合、スマートメーターは円筒形で日本と異なる。この機器は通常、屋外に設置されるので壁の吸収があり、室内の電界強度はWiFiルーターや携帯端末など人体に近い場所にある機器より低いと考えがちである。しかし電界強度の実測では外部に設置されたスマートメーターの電界が必要以上に強いとして、自主的に減衰させることも行われている。

マイクロ波は電離(イオン化)を生じるエネルギーを持たないが、生体内の極性をもつ水分子の振動させることで、DNAを損傷する。なお携帯のマイクロ波の周波数は情報量の増加に対応するべく高くなるが、そうすると指向性が強くなるので基地局が増える。そのため5Gではその傾向が強まるため、健康被害の影響を確立する必要性があるとされる。ちなみにIARC(International Agency for Research on Cancer)はスマートメーターを「発癌性」と分類している。

根拠となるのは携帯端末と特定の脳腫瘍発症との関係を明らかにした研究である。携帯端末と同じマイクロ波機器であるスマートメーターにも癌発生リスクは適用できるとした。ただしWHOは電磁波による健康被害の実態を調査するとしているが、結果は公表されていない。

 

健康被害だけではないスマートメーターの問題

スマートメーターに簡単な電磁波吸収シールドを取り付けて電界強度を(電力会社の業務に差し支えない範囲で)下げる試みもなされている。しかしスマートメーターの問題は健康被害だけではない。スマートメーターの電力消費量の誤差が大きく、消費者は不正に電力料金を請求されるというケースや、一般家庭の電力消費ビッグデータが第三者に売買され商業利用されるケースなどである。

国内スマートメーターについてはメーカーの説明が詳しい。電流センサー方式が主流で、原理はCT(Current Transformer)と呼ばれるケーブルの電流をケーブルを囲むロゴスキーコイル(注1)で測定する機材で使われるコイル方式とホール素子デバイスがある。

誤差の問題についての研究によればロゴスキーコイル式のセンサーは実際の電力消費より高い値を表示する一方で、ホール素子のセンサーは低い値を表示するという主張もある。

(注1)一次導体周辺(電流が流れるケーブルの周囲)に空芯のコイルを設置すると、一次電流に対応した電圧がコイルの両端に誘起される。この電圧は一次電流の微分波形なので、積分器を通すことで一次側の電流波形を再現する機器

 

個人情報ビッグデータは誰のもの

またビッグデータに含まれる一般家庭の個人情報、例えば起床時間や就寝時間など、は第三者企業に転売されれば重要な顧客情報となる。スマートメーターで得られるビッグデータの流出を防ぐ法律の制定も検討されている。

日本でも2016年からの電力自由化に伴いスマートメーター設置が進んでいる。誤差の問題については電力量計についての説明に詳しく書かれている。

「電力量計を選定する場合、検定の有無を決める必要があります。検定の必要性は計量法で定められており「取引・証明に使用する計器は基準適合検査・検定に合格し、有効期限内の物を使用すること」と決められています。」

誤差については国内の検定があるので、米国のような問題は起きないと言えるかもしれない。しかしビッグデータが第三者の手に渡ることを宣言してるような以下の記述は少し問題がある。

「スマートメーターにより電力使用量、逆潮流電力量、時刻情報、停電情報を記録しデータとして情報収集できれば、電力情報の見える化などに利用できるほか、第三者の省エネルギーコンサルを行う事業者によるアドバイス利用なども考えられ、雇用の創出という点から見てもメリットがあります。」

 

スマートメーターはスマートグリッドのセンサーであり欠かすことができない機材である。しかし運用に当たっては電界強度と個人情報が含まれるビッグデータの規制が徹底されるべきだろう。第三者にビッグデータを転売する場合には少なくとも設置時に消費者の了解が得られることが前提であり、かつ利益は料金に反映されなくてはならない。

なお電磁波と癌発生リスクの結論を出すことは(電離放射線同様に)難しい。関係性を検証するマウス実験が待たれる。しかしマイクロ波機器の影響も放射線同様に、積算値がリスクと関連する可能性は否定できない。

 

 

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