600トンの溶融核燃料の所在が不明のまま

5年後の現在いまだに福島第一1-3号機の溶融核燃料の所在が不明である。当初から燃料棒の一部の金属がフォールアウトの粒子から検出されたり、ミューオン透視で圧力容器の底には残っていないことが、判明している。しかフォールアウトにウランの他に被覆に使われるジルコニウムが検出されている(注1)また格納容器の底より深く沈み込んでいることも懸念されている。

 

(注1)福島から150km離れた地域のフォールアウトからウラン、ジルコニウムなど溶融核燃料の一部とみられる金属が検出されたことから、一部は格納容器外に飛散した可能性がある。

 

この600トンに及ぶ溶融核燃料の所在がつかめていないことを海外のメデイアが危惧を持って伝えている。ここで紹介するのはそれらのひとつでABCと廃炉チームのリーダーとのインタビューを紹介したものだが、中には「溶融核燃料が吹き飛んでしあっている」とする極論すらある。メデイアが誤って報道することも問題だが、2021年から溶融核燃料の所在を調べて、その撤去にかかるというスケジュールがいかにも遅いと(欧米には)映るようである。

 

fuel debris

Source: TEPCO

 

所在と状態がわかってから撤去の方法を考えるというのは論理的なようだが問題はスピード感のなさである。廃炉チームは所在特定を最優先させるというが、なぜ2021年なのかということは自然な疑問ではないだろうか。東電の説明では1号機では溶融核燃料は全てが圧力容器の外にある。2号機と3号機では30-50%が圧力容器内に残存しているとしているが、70-50%が圧力容器外にありその場所が不明だということである。

NRC(米国原子力規制委員会)は当初から溶融した核燃料の回収は困難としている。過去にそうした事例はない。東電の説明では1-3号機にあった核燃料は200トンづつで、合計すれば600トン(厳密には400-480トン)の溶融核燃料が行方不明だということになる。

IRIDと企業の共同で廃炉ロボットが開発され格納容器内の調査において成果を上げているが、圧力容器の中あるいは地中で放射線に耐えて作業できるロボットが開発することを困難とみていることも、回収困難とされる所以である。

 

shape robot containment

Source: IRID

 

しかし高放射線量下で動き回り溶融核燃料を回収するロボットが開発できたとしたら1-3号機の廃炉スケジュールが確定するばかりか、日本のロボット技術が廃炉作業においても使えるということになり、これから原子力先進国が共通課題として抱える大量の廃炉作業に使えるので、アピールするのには絶好なチャンスでもある。

次にメデイアが注目しているのは野積みされた1,000万トンの汚染土の処理である。詳しくは別記事を参照されたい。フレコンパックの40年間の一時保管には巨額の予算が必要となる。帰還が困難な人は10万人とされるが、40年後に放射線量は高々半減するだけだ。汚染地域を封鎖してフレコンパックの保管場所とするのが得策かもしれない。その場合、政府は帰還できない土地保有者から土地を買いあげ、新しい住居を保証する責任があるだろう。

欧米からみれば600トン近くの溶融核燃料の所在が5年後にもつかめないことと1,000万個の汚染土の行き場がないことは理解がしがたいほど進みが遅いのだろう。

 

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