日本の科学技術の将来展望

 日本は高度経済成長時代には、米国の産業・経済を良い面・悪い面を区別なく手本にして発展してきた。アメリカが生産拠点を人件費の安い後進国に移し(衣料ではGAP、半導体関連ではHPなどが象徴的)利益を上げると日本も真似て、拠点を移す。米国は衣料ではデザイン、半導体関連では基礎や応用を含めた根幹部分がアメリカ国内にある安心して、生産拠点を移したのだが、技術流出に歯止めがかからず、結局、空洞化し製造業が極度に衰退した。


 日本はそれを見ていても、結局同じ事を繰りかえした。長年かけて育成した技術が流出したが、Panasonicなど一部の企業はこのことに気がついて拠点を日本に戻している。同じようなことは、今後後進国でもくりかえされていく可能性はある。問題はその時間的スケールがかつてないほど早くなって来ていることだ。また一方で量的緩和と称して毎年実行されて来た「債務を越えた」紙幣印刷に歯止めがかからない米国FRB政策の破綻が目前に迫っていることだ。リーマンショックを遥かに上回る地球規模の経済的な時限爆弾を抱えていることは事実である。この問題は深刻な問題なので別のコラムで取り上げることにする。
Business-Growth-trim
 国の研究機関でも、米国ではNASAをはじめとする研究機関が民間化されたが、そのため、宇宙関連の技術開発など後退してしまい、管轄下に戻った経緯がある。日本も独立行政法人化にみられる民営化の動きが活発化していて技術力の後退は否めない。米国の例を真摯に受け止めるとすれば、技術立国を維持するには国の管轄下に戻すのが筋と思われる。しかし事業仕分け担当者、政治家、役人は科学技術を知らない人達が牛耳っているので、今後日本が科学技術で世界に貢献するのは非常に難しい。すなわち現場を離れた執行部の判断により現実的でない判断が経営危機を引き起こしている。短期的な経常利益にこだわる経営者はしばしば時間とコストのかかる技術開発が無駄であると考える。しかし最先端技術開発ではいくつもの難題解決のためにアイディアが生まれ、そこから新技術が生まれ、それぞれが発展してシステムとなり事業に結びつく良性の循環を生み出す。既存の技術では新規性が無いため、技術発展の可能性は低いのである。

 もうひとつの、将来の日本の科学技術発展が阻害される要因は、理科系への進学率が急激に減っていることである。以前は企業の採用では理科系限定など制限があったが、近年ではその制限が撤廃されている。これも進学率の激減につながっているのではないだろうか?またプリウス問題のように制御系など内部はブラックボックス化しているため、スイッチのオンオフで済んでしまうシステムが構築され、理科系出身者である必要がなくなっているのも理科系離れを加速させている要因かもしれない。理科系への進学率が低い理由のひとつは理科系が働きに応じた待遇(給与)を得られないこと、専門性が必要とされるにも関わらず高等教育を受けて逆に就職が不利となる矛盾に子供は気がついているからだ。
 これらの兆候から推測すると、今後日本が科学立国として君臨していくのは非常に難しいといわざるを得ない。
5999538151 4861ee1e3b z

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.