風力発電

 巨大な風力発電用の羽根が並んでゆっくり回転する風景はグリーンテクノロジーの象徴である。かなり昔からハリウッド映画でカリフォルニアの発電施設が映画の撮影場所に使われて来たことからも明らかなように、地球温暖化が問題になるかなり以前から地球環境に配慮したエネルギー源として注目されていたのである。世界的には風力発電は従来の発電所とは様々な点で異なる特徴を持つ。中でも温室効果ガスの排出が少ないこと(注)、運転用燃料が不要で持続的に利用できるほか、初期投資を除けば維持に関して低コストなどが重要視されている。下に示すように風力発電は太平洋岸で実用に達することがわかる。カリフォルニア州の長い海岸線は利用価値が高い。

California wind resource map 50m 800

 

(注)CO2ガスの排出が地球温暖化の原因とする説は最近は否定されている。

 日本の電力需要と匹敵する70GWクラスの電力消費国ドイツ全国の電力のうち、50%以上を風力発電と太陽光発電がまかなった。この結果は一朝一夕に達成されるはずもなく、施策の成果であるが興味深い事実は再生可能エネルギーのなかで風力と太陽光に集中して投資をして来たことだ。ドイツでは海に面したハンブルグなどは冬場の風力には誰しも驚くほどで、観光名所の聖ニコライ塔に登ると147mと風力発電のナセル位置に匹敵する高さだが、強烈な風にはびっくりさせられる。風力発電と太陽光発電の合計が最近、36GWに達した。これは原子炉30基分以上に相当する出力で、ピーク消費電力70GWのおよそ半分にあたる。

 風力発電は太陽光発電と同じく自然まかせなので、制御性や安定性に関しての問題がないわけではないが、風車という発電設備としては圧倒的に簡単なメカニズムを採用しているため、直感的に羽根車が回転すれば発電機が回転して電力がとりだせる。しかし風車が回るのとは異なり発電機軸を高速で安定に回転させ、それを持続する技術は想像以上に困難なのである。風車のローター(羽根)の大きさと発電量の間には関係があり、発電量はローターの半径の2乗、風速の3乗に比例する。またエネルギー転換効率は最高59%である。風力発電機はロータ径が大型化するにつれて効率が向上するがこれに従って、採算性も向上する。これは高所の方がより効 率よく風を捉えられるのが大きな理由で、このため発電事業用の風力発電機は大型化する傾向にある。2005年は、世界的に2.5MWクラスが中心で あったが2008年には5MWの機種も登場している。電力用としては水平軸のプロペラ型が多く用いられる。

 陸地においては無風状態になれば風車は止まるが、デンマーク沖への展開にみられるように風の分布を調査して予測し、お互いに補う場所に分散配置するのが現実的であろう。スマートグリッドと呼ばれる次世代送電網ではその一翼にこうした自然エネルギー発電施設が含まれるであろう。風力発電は世界的に大規模な実用化が進んでいるが、我が国の特殊事情(台風の影響、原子力発電への依存等)によって欧米諸国に差をつけられている。国別にみるとこれまで首位を守ってきたドイツが36GW達成でも3位であり、中国の躍進はめざましく、中国、米国、ドイツ、スペインの順である。

 メーカーのシェアはデンマークのVestos社が30%を占めて独走しており、日本のメーカーでは三菱重工が2%と水をあけられている。ハイテクメカに強い日本はきめ細かい制御技術でこの差をつめてもらいたい。例えば強風に対処するにはローターにかかる負荷を軽減するためにブレードの角度(ピッチ)を変えて速度を抑制するフェザーリングというしくみを用いるが、ブレードのピッチをセンサで風向、風速分布を設置場所周辺で観測、予測して動的に最適化するシステムなど、インテリジェント化した風車が考えられる。スマートグリッドと一体化した自然エネルギー発電施設が望まれるが、クリーンエネルギーの本格的利用に長期的な国策が必要な事は明白である。ドイツでやれることが何故できないのか不思議であるが、日本の風力発電の設計にも問題がありそうだ。突風によりナセル内のメカが壊れる、設置前の調査が不十分で回らない風車が多いなどクレームも多いときく。本腰をいれて取り組む時期に来ていることは確かなようだ。

GreenMountainWindFarm Fluvanna 2004-trim

 

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