世界最高性能のペロブスカイトHigh-k超薄膜〜原子層エンジニアリングで実現

ペロブスカイト材料は1986年に発見された高温超伝導の舞台としてバルク及び薄膜の結晶育成と物性測定が精力的に行われたが、有機ハイブリッド材料がスピントロニクスに有望な材料であることが示され、最近では薄膜太陽電池材料はシリコン多結晶に迫るエネルギー効率を記録するなど、多方面で実用材料として活躍が期待されている。下図は有機ハイブリッドペロブスカイト太陽電池材料の構造模式図。

 

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Credit: JACS

 

トンネル効果によって限界に達したシリコンチップの微細化を継続するために、絶縁膜としてHigh-k材料と呼ばれる誘電体材料が有望とされる。WPI-NIMSの研究グループは原子エピタキシーによって世界最高性能の誘電体(High-k)材料ペロブスカイトの成長に成功した。この誘電薄膜は微細化の壁を打ち破るICチップ製造につながるものと期待されている(Li et al. J. Am. Chem. Soc. 139, 10868, 2017)。

開発された2Dペロブスカイト超薄膜はCa2Nam-3NbO3m+1; m=3-6)を積み上げて成長したもので、誘電体(High-k)や強誘電体特性を持つ。原子エピタキシーではユニットセルを積み上げていくので、厚みをユニットセル長(〜0.4nm)単位で制御することができる。

 

ユニットセルがm=6に対応するCa2Na2Nb6O19場合に、誘電率は10nm薄膜としては最高値(〜470)を示した。この膜を論理デバイスのゲートやメモリのMOS構造に使用することで、トンネル電流で決まる微細加工の壁を越えることが可能になる。またキャパシタ材料としても〜203μF/cm2という容量は現在用いられているセラミック材料よりも3桁高い。

ペロブスカイトの原子層成長は薄膜高温超伝導研究の中で発展を遂げた分子線エピタキシー技術を基盤として発展させたものである。これまで進展が遅かったHigh-k材料(Choi et al, Materials Science and Engineering: R: Reports 72,97, 2011)の普及は今回の研究結果を基盤に進められ、限界に近いシリコンチップの微細化が実現する日も近いと期待されている。

 

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