セミに学ぶ超低反射表面構造の作り方

顕微鏡を観察する研究者は生物に驚くべき微視構造の一面をみることが少なくない。中国の上海にあるジアオ・トング大学の研究者グループはセミの羽が反射率の少ない(可視光を100%吸収)形状を持つことを見出した。

 

研究グループはシリコン酸化物の表面に同様の形状を持たせることで光吸収を増やして高効率の太陽電池を製造できるとしている(Zada et al., Appl. Phys. Lett. 111, 153701, 2017)。

シリコン酸化物を溶かした溶液中にセミの羽を浸し、超音波処理後に取り除くゾルゲル処理で、シリコン酸化物表面にセミの羽と同じ微細構造が残る(下図)。この材料は反射率が低く入射角に依存して反射率は0.3-3.3%となる。

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Credit: Appl. Phys. Lett.

セミの羽はもともと超撥水性であるが研究ではシリコン酸化物表面で親和性を高めるように科学組成を変化させた。研究グループは研究を発展させて、低反射率で高屈折率を持たせるなど、自然界に存在しない相反する性質を持つ物質をつくり抗菌活性や超疎水性を持つ物質研究に役立てたいとしている

生物を模倣して新機能を実現しようとする試みはBiomimeticsとして知られる。何気ない観察から自然界の法則をみいだすといえばファーブル昆虫記を思い出すだろう。専門化が進んで研究に忙殺されると身の回りにあるかもしれない事象は目に入らなくなるが、研究のヒントがときには得られるかもしれない。子供に付き合ってときに野原を駆け回ると新しい発見があるかもしれない。そういう意味では「書を捨てて自然に親しもう」ということかもしれない。

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