新概念のダイアモンドMOSFET

シリコンは需要が伸びているパワーエレクトロニクスの中心的役割を担ってきたが、シリコン系パワーエレクトロニクスに限界がみえてきた。次の手はエネルギー効率の高いFETデバイスに適した材料をワイドバンドギャップ半導体の中から探し出すことになる。

 

ダイアモンドは原理的にはより高温、高電圧、周波数で使用できる最適な材料となるのだが、シリコンの牙城であったMOSFET製造にはオン状態の電流値を増大させるために、ホール移動度を高めることが必要になる。このためフランス、英国、日本の研究グループはボロンドープのダイアモンドのデ ィー プデ ィプ リーシ ョン(deep depletion)を用いる新原理でこの問題を解決しようとしている(Pham et al., Appl. Phys. Lett. 111, 173503, 2017)。

MOSFET構造では酸化物層とその上の金属層が半導体表面(ここではダイアモンド)に積層している。金属層に電圧をかけていくとチャネルと呼ばれるゲート直下のキャリア密度が電界効果(FE)で変化して電流が流れる。これまで試みられたダイアモンドFETでは表面を水素終端してホールをトラップされないようにチャネルに注入することを目指していた。

 

一方、シリコンMOSFET同様に、最近では酸素終端されたダイアモンドMOS構造で反転状態(インバージョン)を実現することが試みられた。オン状態のMOSFETの電流値はチャネル移動度に依存するために酸素終端ダイアモンドの界面制御が中心課題となっていた。

 

deepdepletio

Credit:  Institut NÉEL

研究グループはこの問題を抜本的に解決するデ ィー プデ ィプ リーシ ョンを利用する原理を採用した。研究グループは380Cで酸素終端ダイアモンド(エピレイヤー)にAl2O3層を成長させ、ボロンドープでダイアモンド層にホールを注入した。これによってシリコンMOSFETでは使えない領域の電圧制御でダイアモンド層のチャネルの高い伝導性でオン状態の電流値が増大することができた。 高電圧でも反転状態でオフ状態が実現するので、シリコンMOSFETの問題はない。研究グループはボロン以外のドーパントでも適用できるとして、新原理によるMOSFET構造をつくるファブDiamFabを起業した

 

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