グラフェンで世界最高速の光スイッチング

フリードリッヒ・アレクサンダー大学の研究グループはグラフェンを用いてフェムト秒レーザーパルスで動作する世界最速の電流スイッチングに成功した(Higuchi et al., Nature online Sep. 25, 2017)。

 

これまで気体、絶縁体、半導体に対して光高速スイッチングの試みは数多く行われてきたが、光の金属中への侵入長は短いため金属試料での実験はなかった。この研究ではセミメタルであるグラフェンを用いて初めて光パルスによる導体の高速スイッチングを実証した。

 

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Credit: Nature

aはSiC基板上の単原子層グラフェンのレーザー照射による光電流測定系とバンド間遷移の模式図。

 

超短パルス(フェムト秒)レーザーを単原子層グラフェンに照射すると半周期(0.5フェムト秒)の間、一方向に電子流を作り出すことができた。鍵となるのは始状態の電子のレーザー励起に2つの異なるチャネルが存在すること。これらを介して電子励起が競合する。これらの経路の位相差に依存して2経路の励起電子が一緒になった時の電流値が変化する。

2014年に別グループはグラフェンでフォトンドラッグ効果(注1)を用いて超高速電流パルスを作る試みが報告されている(Sci. Rep. 4:4007(2014)。

(注1)光子の伝播に伴いキャリアである正孔が光子に引きずられて光出射面側に移動して光起電力を生じる現象。

 

この原理を用いると光照射でアト秒精度の電流スイッチングが可能になるため、電流が励起レーザーの波形で制御できるようになる。広義には光と物質の相互作用がレーザー強度が高くなると、光子(粒子)的な領域から光(波動)的な領域の挙動を示すようになる。

この領域ではバンド内励起がバンド間遷移に影響し、フェムト秒のランダウ・ゼナー遷移(注2)で干渉効果が起こる。ここでは偏光依存性が予想されるため、超高速情報通信デバイスへの応用が期待されている。

(注2)擬交差をしている付近で核が運動するときに起こりやすい断熱状態間の遷移。

 

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Credit: Nature

 

 

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