ジャロシンスキー守谷相互作用による磁気秩序制御

NISTの研究グループはジャロシンスキー守谷相互作用(注1)を利用して薄膜磁性体の磁気秩序を制御する技術を開発した。応用として磁気メモリやナノ磁性体の磁気秩序制御が期待できる(Phys. Rev. Lett. 119, 077205, 2017)。

 

(注1)隣り合う磁化を傾けようとする力。強磁性体中の隣り合う磁化を互いに平行に向けようとする交換相互作用の逆。

これまでアップ、ダウンに限られてきたスピンの方向を(他の方向に)制御できれば、マクロ集合としての磁場を制御できることになり、幅広い応用が可能となる。今回の研究によって「磁場の向きを右向きあるいは左向きに「ひねる」ことが可能になる。3原子層のコバルト超薄膜で研究グループはスピンの向きを制御して一方方向に「ひねる」ことや場所によって異なる向きに制御することに成功した。

 

下図(a)の非対称矢印ははジャロシンスキー守谷相互作用により「ひねられた」スピンの向きを示す。(b)(c)ははアルゴンイオンビーム線量 2×1016  cm−2 及び2×1015  cm−2に対応している。(d)(e)は磁気光カー効果の位置変化で(b)(c)の場所に相当する。

 

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Credit: Phys. Rev. Lett.

 

スピンの制御方法は通常は磁性薄膜と非磁性物質の界面に観測される、隣り合う非磁性体原子とのジャロシンスキー守谷相互作用によってスピンの向きを傾ける効果を用いる。またジャロシンスキー守谷相互作用が強ければ磁場が局所的にひねられてスピン渦が出現し、スキルミオンと呼ばれる特異点(ノット)ができることもある。スキルミオンを使えば他の方法より低エネルギーで磁気メモリをつくることができる。

実験ではコバルト超薄膜を白金膜で挟んだ多層構造が鍵で、100eV以下の低エネルギーのアルゴンイオンのエネルギーと照射量を変化させる磁気光カー効果で磁気秩序が制御できることを確かめた(下図)。

 

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Credit: Phys. Rev. Lett.

 

図中、イオンビーム線量はプロットの下に向かって増えていく。黒い線は正(青)と負(赤)の境界を示す。

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