水分解、CO2分解反応の高性能サイクル・レドックス触媒

ノースカロライナ州立大学の研究グループは新型触媒で水分解反応とCO2分解反応の効率を飛躍的に高めることに成功した(Zhang et al., Science Advances 3 e1701184, 2017)。実験の結果、水分子の水素発生効率90%、CO2からCOへの還元反応効率98%が得られた。

  

CO2分解反応

太陽エネルギーを用いるCO2分解にはストロンチウムフェライト(注1)のナノ粒子を酸化カルシウムあるいは酸化マンガンのマトリックスに拡散したナノコンポジット(注2)触媒を用いた。従来の触媒の効率は90%を下回っていたが、開発された触媒では99%を達成した。

(注1)世界最高磁力の磁石(NEOMAX)

(注2)ナノ粒子をマトリックスに拡散したナノ複合材料

 

CO2の還元で得られる酸素はメタンと反応させれば合成燃料(シンガス)を製造するプロセスにも使うことができる。またCOは合成により多岐にわたる炭素化合物を合成するプロセス(C1化学)の出発点となる。

 

e1701184.full

Credit: Science Advances

 

水分解反応

一方、太陽光照射下での水分解反応では鉄をドープしたバリウム・マンガン酸化物(BaMnO3)ナノ粒子を拡散したナノコンポジットが使われた。一般的な水分解と異なり水素発生と同時に得られる酸素はナノコンポジットに取り込まれ水素だけが発生する。従来の水素発生効率は10-20%であったが、新しい触媒で90%となった(Haribal et al., ChemSusChem online Aug. 7, 2017)。

水分解で得られた酸素はCO2分解による酸素と一緒にシンガスの原料となるので無駄がない。シンガスの原料はCO2であるため大気中のCO2を使えばカーボンニュートラル燃料合成が実用化できる。

光合成の両輪である水分解とCO2分解はPSIIというMn酵素が複雑なレドックス・サイクルで実現しているが、これらを分離して工業化できれば環境保護、エネルギー危機(化石燃料枯渇)、石油製品原料という現代文明が抱える深刻な問題を解決できるキーテクノロジーとなり得る。

 

 

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