水へのレーザー照射でテラヘルツ光発生

ロチェスター大学の研究グループは水の薄い膜に超短パルスレーザーを照射することで、テラヘルツ光が発生することを見出した(Jin et al., Appl. Phys. Lett. online July, 2017)。

 

常識を覆す発生メカニズム

水がテラヘルツ波の吸収が大きいことからすれば奇妙に思えるし、またそのため長い間研究者は懐疑的であった。

水でテラヘルツ波を発生させるには、吸収の無視できる200ミクロン厚の薄い膜を使う。これまでテラヘルツ波の発生には固体、気体、プラズマが使われてきたが、この研究によって液体からの発生が可能になった。

実験ではフェムト秒パルスレーザーを流れている薄膜中心に集光した。レーザー照射部分はプラズマ状態になり水分子をイオン化するとともにテラヘルツ光が発生する。実験装置を下の模式図に示す。HWPは1/2波長板で位相差を1/2波長変えて直線偏光を円偏光に変換する。ターゲット(水)までの光学系は複雑でないので発生方法としては実用的と言える

 

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Credit: App. Phys. Lett.

 

水で発生するテラヘルツ光の特異な性質

水で発生するテラヘルツ光の特性は、一般的なプラズマからのものと大きく異なる。例えばプラズマから発生するテラヘルツ光のエネルギーは励起パルスの長さが短いほどエネルギーが高くなるが、水から発生するテラヘルツ光ではレーザーパルス長が長くなると発生するテラヘルツ光のエネルギーが増大する。

また空気プラズマ発生では偏向方向と発生するテラヘルツ光強度は相関がないが、水では入射角が小さいと強度の変更依存性が顕著に現れる。これらの性質は現在考えられているテラヘルツ光の発生メカニズムでは説明できない。今後の研究で水からのテラヘルツ光発生メカニズムの一般化が期待される。

下図(a)のA、B、C、Dはそれぞれレーザースポットより手前、スポット、後ろ、水膜なしの参照状態の位置に対応する。(b)の波形に示されるように水膜がスポットに一致した時にテラヘルツ光が発生する。(c)は空気プラズマと水膜で発生するテラヘルツ光の電界強度分布でDは空気プラズマに相当する。

 

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Credit: App. Phys. Lett.

 

 

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