太陽活動周期と地球気温−ミニ氷河期

  2015年の夏は観測史上(1880年以来)最も高温になるという。毎日続く暑さに誰でも実感し、地球温暖化を頭に浮かべることだろう。だが地球気温に太陽放射は最も直接的な影響を与え、活動周期からミニ氷河期が近ずいているとする意見がある。少し涼しい話題をとりあげてみた。

 

Solar Cycle Prediction

Photo: Wiki

 

 太陽活動は地球に与える放射によって様々な面で直接的に影響を与える。太陽活動は広範囲な波長領域の放射のほか、物質(イオン)をも放出している。太陽活動の活発さは太陽黒点の数やフレアで観測することができるが、地球上でオーロラの出現はそれらと密接に関連する。

 地球の天気や気候変化を引き起こす太陽活動は1745年にガリレオが最初に観測して以来のデータを整理して周期性が発見されている。周期活動を外挿することで範囲を広げると、1699年から2008年の309年間に28周期があった。(ただし周期は複数の重ね合わせのため見かけ上の周期で代表することはできない。)

 

 強く磁化された太陽黒点の活動周期は約22年周期を有する磁場の周期であることがわかり、太陽活動周期は太陽の磁場の空間的時間的変動と解釈された。以下のNASAによる黒点の周期データをみると、ある周期において、同一半球内では常に同じで、周期を通じ、半球間では逆となり、次の周期に移り変わる際にそれぞれの半球で逆転する性質が示されている。

 

Synoptic-solmag

Photo: Wiki

 

 黒点活動の変化を時間に対してプロットした最初の図に戻ると、バックグラウンドの変化が(少なくとも1985年から2020年の間では)減少する傾向にあることと、短周期の3つのミニサイクル22、23、24が存在することがわかる。短周期のピークの年は1990年、2001年、2014年である。

 太陽の放射エネルギーに換算すると以下の図になる。ここまでは誰でも納得する結果だろう。

 

solcyc copy

Image: hyperphysics

 

 一方、地球表面の気温のデータは以下のように変動が激しいが、2世紀にわたってバックグラウンドとしての平均気温が上昇基調にある。これが地球温暖化とされて温室効果ガス降化が主要な要因とされる。細かく見ればオゾン層の変化や温室効果ガス以外の環境変化(伐採など)や使用エネルギーの増大など多くの要因があると思われる。

 

Fig8 22

Graph: NASA's Cosmos

 

 上のグラフを拡大して太陽活動周期と重ね合わせたもの(下図)をみると細かい変動があるものの、(19世紀中頃から20世紀後半までの期間に限ると)気温変化と太陽活動周期が対応している。

 

Fig8 21

Graph: NASA's Cosmos

 

 1980年以降の気温上昇が太陽活動周期と重なることは地球温暖化説に反論する説の根拠となっている。つまり温室効果ガスのせいで地球温暖化が進んでいるのでなく、太陽活動周期によるものだという主張である。

 地球温暖化の有無と犯人探しは様々な主張が入り乱れているが、もしこの図が1699年からの時間変化でも成り立つものなら、そう考えてもよさそうだが、限定されたデータの相関をみることの困難さはいうまでもない。

 太陽活動周期が氷河期と相関があることは事実である。太陽放射の影響は地球軌道の形と熱源(太陽)の傾斜角に依存する。氷河期に関する情報は化石の酸素同位体(18Oと16O)の測定で得ることができる。過去10万年にわたる地球上の氷河期のデータが得られている。

 北極の氷のデータからは地球表面の温度と待機中の温室効果ガス(CO2とメタン)と16万年にわたって相関がある(下の図)。しかし相関の存在は結果で、メカニズムを説明するものではない。地球気温が(別の要因、例えば太陽活動周期)増大すれば、大気中のこれらのガス濃度は増大するからである。

 

Fig8 28

Graph: NASA's Cosmos

 

 この相関は42万年のウインドウでも確認できるので、100年間の間の温度変化を全て押し付けることには無理があり、温室効果ガスの効果は太陽活動周期および地球軌道の変化による地表に達する放射量の変動を増幅するかもしれないが、気候変動を全て温室効果ガスによるとするのは難があるかもしれない。

 ただし残念なことに北極氷のデータは過去200年分は無いので、外挿に頼れば過去10万年のウインドウでみても異常に高いことも事実である。(同位体比の観測手法とオーロラなど電離層への影響については別記事で詳細にふれたい。)

 

 

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