宇宙X線放射と極中間圏雲を調べる極地打ち上げ観測ロケット

2018年1月15日から31日までにNASAは宇宙X線放射と極中間圏雲を調査する4基の小型観測ロケットを打ち上げる。その中の1基は地球が属する銀河内からのX線放射を調査、他の3基は極中間圏雲を人工的に作り出して成長過程の詳細なデータを収集する。 

 

Hot Gas観測

低エネルギー宇宙X線放射の起源は2つあり、一方は銀河の”Local Hot Bubble”区域と呼ぶ太陽系外の複数の超新星爆発によるもの、もうひとつは太陽系内で生じる太陽風の荷電粒子(電荷交換)によるものである。 下図は”Local Hot Bubble”のX線(図中のHot Gas)を含む宇宙X線スペクトル。 

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Credit: Jonathan Slavin 

 

極地(アラスカ)から打ち上げるメリットは太陽風の磁場と地球磁場の相互作用を最小限にできることである。宇宙X線のエネルギーは軟X線から100keV以上の硬X線領域まで広範囲なものだが、今回のロケットでは低エネルギーX線領域の観測となる。 

 

人工極中間圏雲

他の3基の観測ロケットは極中間圏雲の観測を行う。極中間圏雲は超高空にあるイオン集団が作る雲(下の写真)。実験では水滴を高空で放射して極中間圏雲を人工的に作り、詳細なデータを収集する。この時、2基のロケットで水滴の噴霧前後にトリメチルアルミニウム(TMA)蒸気を噴霧するとTMAは大気の酸素分子と反応して酸化物を生成し水分の凝集核となる。TMAは人工雲の噴霧物質として知られている。

 

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Credit: NASA 

 

極中間圏雲(夜光雲)は75-85kmの中間圏界面にできる雲で青白く輝くため夜光雲と呼ばれるがオーロラのような自発光現象ではない。極中間圏雲の正体は氷ナノ粒子でその集団は地球環境に極めて敏感であるため、その挙動を細かく調べれば逆に地球環境変化の影響を調べることができる可能性がある。 

 

極中間圏雲は学術的な研究対象として観測の歴史は古いが、今回のミッションは成長過程を理解して気候変動による地球環境の変化を調べる必要が出てきた結果もしれない。電離層や成層圏の調査による地球環境のモニタリングは地震予知や干ばつ・豪雨など異常気候のもたらす災害を防ぐことにつながると期待される。重力波の観測が地震の発生をP波より早く知らせたり、ミューオン透視で活火山の状態を調べることができるなど、基礎科学が災害を未然に防げる機会が多くなったことは理解が進み計測系の感度が高くなったことにもよるが自然災害が増大している結果なのかもしれない。 

 

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