チャンドラX線観測衛星

 Chandra X-ray ObservatoryはNASAが14年前に打ち上げた人工衛星であり、Chandraは天文物理学者の名前である。この衛星はスペースシャトルによって打ち上げられた後、順調に稼働し高い分解能X線イメージを地球に送信しつづけている。


 その中心となる機器はACIS(Advanced CCD Imaging Spectrometer)とHRC(High Resolution Camera)という、焦点面に置かれるふたつの検出器である。その前に置かれるX線光学系(ミラー)は当時の先端技術によって製作された、4枚に分割されたイリジウムミラーから構成されている。

 微弱な信号を検出しなくてはならないX線天文学では高度のX線ミラー製造技術が要求された。ミラー面の凹凸(平たん度)のほか、双曲線や放物面など求められる曲面を精度よく再現しなければならない。下の写真派スペースシャトルに積み込まれたチャンドラ衛星でスペースシャトルのカーゴとしては最大級である。というよりカーゴ室の寸法ぎりぎりに製作されたのであろう。


512px-Chandra X-ray Observatory inside the Space Shuttle payload bay

 X線ミラーの製作技術は近年のシンクロトロン放射光の応用研究の活発化で著しい発展を遂げたが、中でも大阪大学グループの開発した表面研磨技術は高分解能X線光学系の発展の原動力ともなっている。これについては別の機会に解説したい。

 チャンドラ衛星のミラー焦点面におかれる検出器のうちACCISはCCDで0.2-10keVの領域のX線イメージの検出が可能である。一方のHRCはマイクロチャネルプレート(MCP)月のTVカメラである。エネルギー分解のためには透過型回折格子が設置され高エネルギー側は0.4~10keV波長分解能60~1000で低エネルギー側は0.09~3keVの領域を波長分解能40-2000でカバーする。

 現代の最新鋭の放射光施設では珍しくない回折格子スペックだが当時の宇宙用としては最先端であった。下に示す写真では4分割構造がよくわかるが小さい口径のミラーは多数並べられたマルチミラー構造のようである。現在の放射光施設では非弾性散乱アナライザー結晶が似たような配置で使われている。

 

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ハーバード大のサーバーにチャンドラ衛星のデータを管理するセンター(http://chandra.harvard.edu/)がある。目の覚めるようなこの衛星でしかみられない画像はいずれも息をのむ美しさである。

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