ローレンツ力で推進−MPDスラスタとは

 ここで取り上げるMagneto Plasma Dynamics (MPD) thrusterなので、正確には「電磁プラズマ推進ロケット」である。ロケットの父ゴダード以来、ロケットエンジンといえば化学反応を推進力とするロケットがほとんどであった。

 

MPD thruster UStuttgart

 

 MPDスラスタではアーク放電によって大電流を流してガスを電離させプラズマを生成すると、電流と磁界の作用でローレンツ力が発生することを利用して推進力を得るのが原理である。

imgf0001

 スラスタの構造は比較的簡単で円筒状の外側がアノード、中心にコーン状のカソードがあるだけである。カソードに向かって電流が流れ込むときの電子が受けるローレンツ力には円筒の軸方向に推進力成分が生まれる。

 MPDスラスタの比推力(注1)は1,000−5,000secと大きいので、惑星探査など宇宙空間の長距離飛翔に適している。「はやぶさ」ではイオンエンジンが使われているがイオンエンジンはイオンを静電場で加速し、反作用で推進力を得る。

(注1)比推力はロケットエンジンの推力を推進剤流量・重力加速度で定義される単位重量の推進剤で単位推力を発生させられる秒数で、いわばロケットエンジンの燃費のようなものである。

 固体燃料ロケットで200-300sec、液体燃料ロケットで300-400secなので1,000sec以上のMPDスラスタは宇宙空間での長時間飛行に向いている。イオンエンジンやEmDriveも電気推進に含める。

 

Self-field MPD thruster-CGI illustration

 

 試験段階では推力(10N)を発生するには10kAという大電力が必要ということなので、燃費が良いといっても省エネというわけにはいかない。いずれしても電力確保が必須となる。

 核融合やEmDrive、そしてMPDスラスタ、さらに欧州の大出力レーザー施設ELIなど、プラズマ科学は未知の部分も多いが、様々な研究開発の檜舞台に躍り出た感がある。

 

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