海底油田の現状−深海掘削テクノロジーの進歩

 アフリカ最大の原油産出国であるアンゴラ。相次ぐ深海油田の開発により今後5年間の増産でイラクに次ぐ産油国となる。アンゴラ深海油田の開発にはTotal、Chevlon、BPなど名だたるメジャーが顔をそろえるが中でもTotalは水深の深い海底油田の最大掘削業者となる。

 

 注目すべきは世界の原油埋蔵量の1/4は海底に眠るが、開発が進んでいるのはごく一部で、深海掘削テクノロジーの進歩により、シェールオイルのように急速に増産となるポテンシャルを秘めている。アンゴラの場合はOPECによって規制が入るとみられているが、ピークをすぎたサウジアラビアや、世界最大の埋蔵量に躍り出たベネズエラに代表されるような原油供給国の新旧交替が近い。

 

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 海底油田とはどういうものなのか。アンゴラの場合で行くと水深600-1400mであるが、これは「大水深」の標準的な水深1,500m以下である。それより深いものを「超大水深」として区別する。現在までに最大水深の油田はメキシコ湾の3,051mである。しかし掘削深度よりも海底パイプライン(ライザーとフローライン)(注1)につなぎ込む設備「海底仕上げ(Subsea Completion)」の最大水深は2,747mである。海底仕上げを施した油田を改訂し上げ井と呼ぶ。海底の油田に蛇口をつけるようなものである。

(注1)ライザーは鋼鉄のパイプで中心にドリルが回転して掘削すると同時に、その外側を囲み原油を海上に送り届けるパイプでフレキシブルなものもある(下図)。フローラインは海底に敷設されるパイプラインである。

 

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 簡単なのは「海底仕上げ」まで整備された掘削個所同士をパイプラインでつないだSubsea Tie-Back System)である。これに対して「海底仕上げ」掘削個所と生産、処理、貯蔵設備までを結び原油積み出しまでを全て含むのが海底生産システム(Subsea Production System)である。

 掘削技術の進歩は目覚ましく2005年には掘削深度3,000m、海底生産システム深度2,700mが目安になった。「海底仕上げ」はメキシコ湾の浅瀬に1960年にShellが初めて整備した。海底生産システムは深度に依存して様々なタイプがあるがダイバーの潜水深度が300mであるため、それより大深度の油田はメキシコ湾に集中していた。最近になってブラジル沖のCampos Basinの深度1,853mがそれ以外で初めての大深度海底生産システムとなった。大深度海底生産システムによって効率が上がりメキシコ湾の油田の生産は目覚ましく伸びた(下図)。

 

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 話をアンゴラ沖油田に戻すと標準的な大深度「海底仕上げ井」をタイバックで一カ所(海上の積み出しプラットフォーム)にパイプラインで集める。注目すべきことはIEAの見通しでは、アンゴラとナイジェリアがともに2016年には海底油田の産油能力がともに、400万バレル/日となることである。

 2013年度のイラン、イラク、クエートの原油生産量は355.8、314.1、312.6万バレル/日なので中東の3国を生産量で抜く。西アフリカは植民地から独立して長い間政権が不安定で、資源国でありながら貧困国に甘んじていた。アンゴラとナイジェリアの原油生産はようやく資源を売って豊かになるきっかけをつかんだかのようであるが、メジャーが開発に投資し権益も引き継ぐので搾取の構図は変わらない。(注2)

 

 エネルギー資源を求めて世界中を駆け巡る中国もアンゴラ油田開発に関心を示しているという。シェールオイルと海底油田の開発で中東主導の原油供給体制が変わるきざしをみせている。現在の異常な火力のエネルギーミックス比率(88.4%)は、実は震災後に増えているが、実は震災に関わらず209年でも61.7%であるので、温室ガス排出基準の要求である50%をきることが必要である。

FPSO diagram

(注2)アンゴラ油田は魅力的だが日本は直接的に動きが無い。しかし輸出産業としては、海底生産システムの積み出しを担当するメガフロート(FPSO, Floating Production, Storage and Offloading system)を三井海洋開発がアンゴラ向けに受注をはたした。このFPSO(BP向け)は海底生産システムの重要な一部である。輸出するのは中古の大型タンカー(VLCC )を改造したFPSOで15.7万バレル/日の精製能力と170万バレルの貯蔵能力を持つ。上の図でFPSOは係留され原油の貯蔵と積み出しの拠点となる。

 

 

 

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