国産技術の独自性の意味

 航空機や大型ロケットの分野においてコストを追求すれば外国製品の購入ということになるが、最近ようやくという印象が強いが強気の発想、つまりオール国産化に向けての動きが見えて来た。

 例えば衛星打ち上げ用ロケットの世界は最近の宇宙ビジネスの発展に伴い、コストを成功率で競争の激しい分野である。JAXAの前身NASADAと三菱重工業が共同で開発したHIIロケットは、堅実に発展し独自技術の実証に成功した。一方航空機産業は主に航空自衛隊用の軍用機のライセンス生産が技術維持に貢献したが、最近ようやく国産旅客機YS-11以来の国産旅客機の初飛行を控えている。三菱航空機のMRJである。

 

ILA 2010 Samstag 250

 

 長距離飛行記録を樹立した航研機の開発陣のDNAを受け継いだ木村秀政をリーダーとし三菱重工を始め当時の関連メーカーが結束して機体を分担して製作したYS-11は戦後の空を飛んだ64座席の小型国産旅客機として、日本の航空産業の復活への第一歩となったが、それ以上に国民の技術立国への意識を高めた。

 MRJはMistubishi Regional Jetの略でその開発は官民プロジェクトで始った。NEDOの環境適応型高性能小型航空機計画をベースにしているが、販売数が成否を握る世界であり、販売面での努力も含めて三菱航空機が開発したといっても過言ではない。現実に世界最大のジェット旅客機エアバス社のA380は販売が伸び悩み、生産が打ち切られるかも知れない。

 MRJは世界的にRJ(Regional Jet)という小型ジェット旅客機が短距離路線で需要が大きいこととから、企業の責任での開発として決定された。開発の重点は燃費性能に置かれたが、このためには複合化材料を多用して機体の軽量化を行なうことと高性能ターボファンエンジンの組み合わせが重要となる。

 

JA2012 portmesse-18

 

 三菱航空機は燃費に加えて同じクラスの他社機種と差別化をはかることとし、ヘッドアップデイスプレイや飛行中の安全システムなど近代的な装備と採用した。2006年の航空ショーで基本となる2機種(MJ=90とMJ-70)のスペックを発表した。

 MJ-90の機体は全長35m、巡航速度780km/h、航続距離3,600kmで乗員は96座席(MJ-70は70座席)となった。座席数100以上のクラスはボーイング社とエアバス社が激しい競争を繰り広げているので、100座席以下にせざるを得なかったのが真相である。

 MRJにはP&W社のギヤードターボファンエンジンが使われるが従来より減速日が大きいため燃費が12%向上するとされている。この採用はMRJが最初に計画したものでそのため燃費における優位性が期待されていたが、度重なる開発の遅れによりライバルのボンバルデイア社Cシリーズに先を越された。機体各部には国内外のメーカーが参画しているため、製作が遅れたばかりか初飛行もずれ込むことになった。

 

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 燃費と優雅な流線型の機体デザイン、先進的な装備、近代的な客室とアピールポイントは多く、オプションを含めて国内外エアランから400機の受注を得たが、このクラスの需要は増大していることから、さらなる受注が期待されている。中国は100座席以上(168席)のジェット旅客機(C919)開発が進行しているが、こちらも開発の遅れが目立ち運行は2018年以降とみられている。

 産業技術はモノを作り続けなければ失われるが、販売面も伴う必要がある。コストカットや販売促進には民間のノウハウを最大限活用する必要がある。航空機も宇宙産業も、官民主導から民間主導への転換必要になった。中国は国内市場が大きいため国産機種の発注が400機を越えた。我が国の場合は航空機もロケットも、そしておそらく原子炉も輸出を考慮しないと採算がとれない。

 しかしこのことは国際的にも競争力のある技術の育成に大きなモチベーションとなっていると思う。いつの日か100座席以上の国産旅客機が空を飛び交う日も来るかもしれない。しかし自主開発を捨て去れば永遠にその日が来ないということなのだろう。

 

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