世界一周へ飛び立つ太陽光発電飛行機

 太陽光発電による長距離飛行機SolarImpulse2が世界一周無着陸飛行に挑戦するため、アブダビから飛び立った。動力を持つ航空機の世界一周記録条件は、すべての子午線を通過して出発地に戻る距離、36,787.559 kmである。

 

 

solarimpulse 02

 

 長距離飛行機の歴史は古く、戦前の日本にも世界記録に挑んだ航空機設計チームがあった。昭和6年から7年間の開発で記録に挑んだのは「航研機」(注)として知られる長距離機が62時間の連続飛行で総飛行距離11,651.011Kmの世界記録を樹立したのである。「航研機」の出発時の動画をSolarImpulse2と並べてあるので、比較してみて欲しい。

(注)「航研」は東京帝国大学航空研究所は大正7年(1918年)に大学の付属研究所として設立された。設計チームには後にYS-11の設計を手がけた日大木村秀政教授がいた。当時としては多額の予算だったが管轄していた文部省の勇断で実行に移された。SolarImpulseはスイスに拠点がありスポンサーは腕時計メーカーである。

 

 SolarImpulse2はジャンボ機より長い72mの長大な主翼を持つが、カーボンファイバー素材でつくられた機体の重量はわずか2,300Kgである。動力は直流モーターであるが、リチウムイオンバッテリー633Kgを積む。世界一周飛行には5日間の連続飛行が必要である。「航研機」は62時間、ほぼ3昼夜の連続飛行であった。

 

 4個の直流モーター用にそれぞれエネルギー密度260 Wh/kgのリチウムイオンバッテリーが付属している。飛行機の翼と胴体には隙間無く135ミクロン厚の薄膜太陽電池パネルを17,000個取り付けている。

 

 SolarImpulse2は50名の技術者が12年かけて開発した。すでにプロトタイプとしてSolarImpulse1を製作し飛行に成功している。薄膜太陽電池により機体の軽量化に成功し、リチウムイオンバッテリーの採用で機体重量の2.3トンに抑えた。

 SolarImpulse1の巡航速度70km/hでは世界一周は525時間かかるので、5日に抑えるには巡航速度は306km/hが必要になる。SolarImpulse1では10馬力モーターであったがSolarImpulse2のモーター仕様は高出力モーターが装着されているはずである。

 「航研機」の主翼の長さは27.93mで全備重量は9.2トン、BMW V12, 4.2リッター(715馬力)エンジンを積み最大速度は245km/hであった。

 

Tokyo Imperial UniversityGasuden Koken

 

 1986年に初めて無着陸・無給油で世界一周飛行を成し遂げたのはRutan Voyagerで総航続時間9日3分44秒、平均飛行速度は187km/hで航続距離40,212kmという記録を達成した。Rutan Voagerの全巾は33.8m、離陸重量4.4トンだが、そのうち3.2トンは燃料であった。

 110馬力と130馬力の2基のエンジンを持ち巡航速度は160kmであった。設計者のバート・ルータンは独創的な設計者として知られるが、現在はヴァージンギャラクテイカ社で民間の擬似宇宙旅行を体験できる宇宙船の設計を行なっている。

SolarImpulse2の出発の動画はこちら  
「航研機」の動画はこちら  

 

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