スケールアップするメガソーラー:オーバー100MWの世界

先端をいくスペイン
 温室ガス抑制と原発停止で電力危機を迎えてから、再生可能エネルギーへの転換が必然性を帯びた。日本でいう「メガソーラー」の定義は1MW以上の発電能力だが、つい最近まで世界的には10MWクラスが発電量を競い合っていた。その中にあってスペインは2013年度に再生可能エネルギー比率が11.6%となった。発電の内訳では太陽光は3.1%にとどまるが、太陽光の中には太陽電池パネルと太陽熱発電がある。日照時間が長く降雨量の少ないスペインは両者に好適地のため、10MWクラスのメガソーラー発電所が次々と建設され大規模な太陽光発電の先駆けとなった。下の図はスペインの年間の日照平均マップである。メガソーラーへのアドバンテージの高さが伺える。

 

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 太陽熱発電は太陽光を熱源として蒸気でタービンを回す再生可能エネルギーのひとつであり、太陽熱の直接的な利用は家庭用の湯沸かしや温水プールなどで昔から使われて来た。コストのかかる太陽電池パネルの代わりに光を集める集光鏡と太陽光追尾システム(ヘリオスタット)、受光と熱交換器、タービン発電機の組み合わせのため、スケールアップが容易な利点のため一歩先んじることとなった。太陽熱発電には平面鏡で一点に光を集めるタワー型とパラボラ鏡で線状に光を集めるトラフ式(下の写真)がある。

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 有名なスペインのアンダルシア州にあるヘマソラール太陽熱発電所は140mのタワー上に周辺の2,569個の平面鏡が追尾装置(ヘリオスタット)で太陽光を集め、溶融塩を熱媒体として熱交換器を通してタービンを回して20MWの発電を行う。国の固定価格買取制度によって太陽光発電は急速に増大することとなったが、財政負担と電気代の上昇という副作用を伴うものとなった。メガソーラーへの集中投資も殺到した。国際プロジェクトによるメガソーラー建設も活発化し、例えばスペイン領カナリア諸島テネリフェ島に住友商事は12.6MWの太陽光発電所が知られている。

 

砂漠につくるメガソーラー
 メガソーラーの中心はこれまで、10MWクラスが世界の標準であったが、最近では100MWクラスのメガソーラーが現実となった。モハーベ砂漠のデスバレーは観光地として有名だが、モハーベ砂漠は人が住める環境ではなく、廃棄場所以外に使い道はなかった。カリフォルニア州の他、ユタ州、ネバダ州、アリゾナ州荷またがる広大な砂漠の大部分は乾燥地帯で降雨量は極端に少ない荒れ地であるからである。

 モハーベ砂漠は航空機の廃棄場所として有名だが、荒涼とした人の住めない砂漠地帯である。しかし近年、降雨量が少ないことを積極的に使うメガソーラー拠点として有望視されている。太陽光発電開発を行うTeserra Solar社が中心になってこのほどモハーベ砂漠にCalico Solar Energy Project と呼ばれるメガソーラー拠点が整備されることとなった。完成すれば、設備容量は最大663.5MWとなり、50万世帯に電力を供給できる。下の写真が現在世界最大の出力のタワー型太陽熱発電所(カリフォルニア州、Ivanpah)である。集光点の温度は数1000度にもなるため、鳥が近くに迷い込むと一瞬で蒸発するとして話題になっている。

 

solar power

 

 実はモハーベ砂漠には一足早く10MWクラスの太陽熱発電所(Solar One/Two)が稼働していたが、BrightSource Energy社が17万枚以上の平面鏡(ヘリオスタット)を制御して、高さ150mのタワー3基の受熱器に集光する発電能力377MWの太陽熱発電所を建設する。

 こうしたメガソーラーはスペインのヘマソラール太陽熱発電所の19−33倍の規模で、原子力発電所一基に相当する能力である。

 

国内メガソーラー

 国内では京セラやKDDI、IHIなど7社が事業運営会社を設立して取り組む「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」は国内最大の70MWを筆頭に日照条件の良い九州地区にはメガソーラーが多数建設されている。また2016年までには日立ハイテクノロジーズが、24.7MWの太陽光発電所を、岩手県雫石町に、9.3MWの太陽光発電所を、茨城県水戸市に建設予定である。

 遊休地を利用して地道にメガソーラー拠点を増やすことで、採算性を上げ電気代への上乗せを減らすことができるだろう。砂漠というと日本と縁遠い印象だが、日照条件の良い海洋に人口の太陽電池パネル浮島(注)をつくり、海底ケーブルで送電することも可能だ。経済成長の点からもこうした大規模エネルギープロジェクトを金融政策とセットで実行する必要があるのではないだろうか。"Big is wonderful, small is beautiful"といわれる。オーバー100MWの大規模メガソーラーと1MWクラスの小規模分散どちらも重要だ。これらをバランスよく配備する長期ビジョンを打ち出して欲しい。

(注)2014年には日本初の浮体式洋上風力発電所である「ふくしま未来(Mitsubishi SeaAngel)」が福島県楢葉町沖20kmに設置された。

 

 

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