A350 XWBのインパクト

 日本のエアラインはこれまでボーイングの牙城であり、JAL、ANAともにエアバス機を主力機として大量採用することはなかった。このためボーイング社のシェアは80%にも達した。米国系の航空機産業にしても、かつてはマグドネルダグラス、ロッキード、ボーイングというメーカーが共存していた頃は、(ロッキード事件を除いては)競争原理が働いたが、一社独占になればそういうわけにはいかない。

 

 

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 そもそも今は米国航空機を大量に購入することが貿易不均衡の観点からやむをえなかった時代と違うのである。独占市場ではメーカーのいいなりになり不利な契約となることが懸念される。航空機独占市場を崩したのは、欧州メーカー連合による1970年のエアバス社の設立であった。エアバス社はそれ以来、先進的な技術を投入して顧客を魅了しボーイング社と互角以上の競争ができるところまで来た。

 日本でもこれまで、エアバス社の機種を採用したことのなかったJALが2013年に最新機種であるA350 XWBを大量採用した。これには787の納期遅れと度重なる電源関係のトラブルでボーイング社への依存度の異常な高さ対するリスクを考慮した事情もあるだろうが、過去にとらわれない決断であった。

 

 A350の開発の歴史は意外と古く、成功した中距離路線の主力機種A330の発展系として開発が進められたが、これは人気がなく顧客となるエアライン各社の要求により胴体の再設計を行い、ワイドボデイ機の標準より大型の胴体を採用したXWB(Extra Wide Body)が登場すると、その先進性から急速にエアライン各社の関心を集め、すでに750機の発注を受けている。

 

Airbus-A350-XWB

 

 胴体が拡張されたたためエコノミー席の横9列もしくは横10列配置、最大乗客数350が可能となった。横9列配置といっても客室空間が広がったことにより、より余裕を持った配置となっている。ちなみにこの機体はボーイング社の787より大型であり、777で予定されている派生機種(8X、9X)とも互角に競争が可能である。JALはA350 WXBの基本設計が777より新しく8X、9Xでも古さをカバーできないため、777の後継機としての位置づけである。

 

 エアバスが巨額の開発費を投じて開発したA380の新素材による主翼、胴体製造技術とフライバイワイアーのコックピットにより、現時点で最も進んだ仕様となった。静粛性の他、気圧や湿度を地上に近づけたClimate controlにも新機軸を採用し、乗客の快適な飛行を可能にしている。

 A350 XWBはカーボン素材など最新の技術が投入されたが、注目されるのはエンジンである。現状ではロールスロイスがトレントという専用エンジンを独占的に供給し、GEやプラットアンドホイットニーといった米国のエンジンは採用されなかったので、機体、エンジンともオール欧州製となった。(注)ボーイング787ではGEがエンジンを独占供給するのでオール米国製であるのと好対照で、いよいよ米国と欧州連合の一騎打ちの感が強くなった。

(注)東レを筆頭に日本製の先端材料はエアバス社も多く採用している。

 ANAはA350 XWBでなく777-9Xの発注となったが、それでもA350との競合で有利な条件での購入になったと思われる。JALのA350 XWBと777-9Xの両方が日本の空を飛ぶ。羽田に飛来したA350 XWBは評判通りの期待を裏切らない出来だ。

 

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