宇宙ビジネスのリスク

 民間の宇宙飛行を提供する企業として、以下のような多くの企業があることを記事に書いた。一見すれば国の開発コストを圧縮すると同時に民間雇用をつくりだし一石二鳥のように思われるが、実はリスクが存在している。今回のアンタレスロケット打ち上げ失敗はチャレンジャー号事故に並ぶ、ロケットの爆発という悪夢をよみがえらせた。これは如実にそのことを示している。


・スペースX
・ロッキードマーテイン
・ボーイング社宇宙部門
・アルマジロエアロスペース 月着陸船の開発
・ビゲローエアロスペース 宇宙ステーション製造
・ブルーオリジン 宇宙輸送会社
・オービタルサイエンシズコーポレーション NASA代行商業輸送サービス
・スペースアドベンチャー 宇宙旅行会社
・シェラネバダ 小型スペースシャトル製造


 オービタルサイエンシズコーポレーションはバージニア州ダレスに本拠地を置く従業員3400名の中企業で、NASAと商業補給サービスでISSへ8回の荷物運搬業務を19億ドルで契約している。その事業の一環として同社の開発したアンタレスロケットに積み込まれた無人のシグナス補給船ごと、打ち上げ開始から数秒でロケットエンジンの燃焼異常で推力が落ち、爆発し発射台に墜落した。この様子は夜間で中継されたためエンジンが燃焼異常で爆発し墜落する様子が全世界に流れた。映像をみる限り打ち上げ時のエンジンは正常に動作していたが数秒でロケット噴射が異常に増大し、まもなく爆発した。一体何が起こったのであろうか。

 下の写真がアンタレスロケット。この角度から難しいが、エンジン部分を次の写真でよくみて欲しい。2個のエンジンがみえる。その下に示すクローズアップでは2個のエンジンが並んでいることが確認できる。爆発はこのエンジンで起こった。

 

Antares errection for hot fire test

 

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 アンタレスロケットはデルタII型ロケットとほぼ同じサイズの中型ロケットであった。通常構成のデルタIIは、2段式で運用され、地球周回軌道への衛星投入に使用される。アンタレスも2段式であったが、事故は1段目で起こったので1段目の液体燃料エンジンに特殊な状況があった可能性がある。

 調べてみるとデルタIIロケットのエンジンはケロシンと酸素を燃料とするロケットダイン社のエンジンで、衛星打ち上げの実績が多い信頼性の高いもので国産であった。一方、アンタレスロケットの1段目液体燃料エンジンは複雑な事情を抱える。第1段エンジンは旧ソ連が有人月旅行を目的として開発したエンジンをサードパーテイが購入し、米国機器と整合するように改造を施したもの、燃料タンクはウクライナメーカーの改造品である。

 このことは宇宙ビジネスにおいてはコスト優先で転用によるコスト削減で様々な会社の製品が使われるために、信頼性に問題がある恐れがあることを示した象徴的な事象と考えられるのだ。下の写真がシグナス補給船で、GaAs太陽電池で発電しユアサのリチウムイオンバッテリを積む。

Cygnus Orb-D1.5

 

 補給宇宙船としてはスペースX社のドラゴン宇宙船があるが、シグナスは全長1.3mと小規模機材の運搬にあたる予定であった。日本のISS補給船「こうのとり」とドラゴンはどちらも積載重量6トン、シグナスは2トンである。最終的な事故原因の調査結果がでるには時間がかかるが、もしコスト優先の基本的な姿勢が失敗につながったのなら、民間に丸投げ委託で経費削減という基本的な政策の是非が問われかねない。

 下の写真はJAXAの「こうのとり」HTVで無人補給船では先輩格にあたる。安定性に定評のある「こうのとり」の出番が多くなると予算がきびしいと悩む関係者だが、肝心なことを思い出して欲しい。シグナス宇宙船は委託事業、つまり有料補給船なのである。この機会に全5機種ある補給船を「こうのとり」に統一して、有料サービスとしたらいい。

 

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 スペースX社は開発中の再利用型ロケットF9R(下)の飛行実験を米テキサス州にある自社施設で実施した。しかし機体に異常が起きて上空で爆発し、実験は失敗した。宇宙ビジネスのリスクは大きい。

 

SpaceX factory Falcon 9 booster tank

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