防護服について

クリーンルームウエア
 我々研究者にとってかつてはクリーンルーム内での作業は縁遠いものであった。しかしナノ科学の発展の中でどうしても空気中の粉塵を制御した空間(クリーンルーム)内で、作業する必要性がでたため、多くの研究所が複数のクリーンルーム設備を持つこととなった。人体や衣服から出るホコリやゴミは、クリーンルームにおける最大の汚染源である。

 

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 クリーンルームウエアは、人体や衣服のホコリやゴミがクリーンルーム内に放出されることを防ぎ、クリーンルームの清浄度を保つためのクリーンルーム専用の作業服である。例えばクラス100(ISO5)とは1立方フイート空間の0.5μ以上の微粒子が100個以下ということで、スーパークリーンルームではクラス3やクラス5など、極限的な清浄度が要求される。

 クリーンンルームウエアは人体からの汚れを室内に持ち込まないため、あるいは静電気を持たないようにするもので、防護服とはいえないが基本となるタイベックスーツ(注)は良く知られている。

(注)米国 デュポン社が開発した0.5〜10ミクロンのポリエチレンの極細長繊維をランダムに積層し、熱と圧力だけで結合させたシート(不織布)で、軽く強度に優れた素材で簡便な防護服にも使われている。

 

 防護服はHazmat suit (Hazardous Materialsの略)と呼ばれる。サンタクララ消防署のウエブがわかり易い。

放射線防護服
 特に空間中に放射性物質が飛散していないような状況では、放射線発生源との間を遮蔽するために鉛など吸収する材質で覆う必要がある。緊急作業時にガンマ線被曝から臓器を守るガンマベルトについては別記事を参考にされたい。一方、放射性物質が飛散している状況で作業するには、放射性物質の付着や吸引による被曝を防ぐ防護服の機能が求められる。

 

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 後者には前述のタイベックスーツが使われる。原発近くで作業する人が着用している白いツナギのような防護服がこれである。ゴーグル、マスク、手袋、長靴と併用されるが、気密性がないので空間に飛散した放射性物質が多い状況では、気密性の高い防御服を用いる。放射線レベルが高い場合に遮蔽体入りの防御服を着用するが全身をカバーできないので主要な臓器の防御となる。下の写真のようなレベルA防御服は密閉されるため、夏場は体力を奪われ作業が長引いて被曝量は増大する場合も有る。

 FlashSuit

 

生物化学防御服
 エボラ出血熱の感染が広がり各国で感染者の対応にあたる医師、看護師の生物防御服が話題となっている。レベルA、B、Cに分かれていてレベルAは吸気系を独立に備えていて完全密封で、外気との接触はない。ただし酸素ボンベの容量で活動が30分程度に限定される。

 

Biosafety level 4 hazmat suit

 レベルBでは呼吸システムを持つがスーツと分離しているので、完全密封ではない。したがって呼吸器系は守られるが皮膚の防護は完全でない。レベルCはガスマスクでフイルターで呼吸器系を守るのみである。患者にこの場合は接触した服にふれれば感染するので、下の写真のようなレベルCではエボラ出血熱のように高い感染力を持つ場合は無意味である。

 

Members of the 30th Space Wing suit up during a chemical warfare class given at the Northstar training facility on Vandenberg AFB Calif. April 23 2003 030422-F-OD814-001

 ウイルス研究室や化学火事などで作業するオレンジ色のスーツはレベルAであるが、エボラ出血熱の医師、看護師全員に行き渡らないので感染が広がっている。重要なことはエボラ出血熱対策ではレベルA防御服と同等な環境が必要不可欠であること、現在その設備は圧倒的に不足している、ということである。

 

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