Csの新除去技術は地下水対策を加速するか

 福島原発の課題のひとつはタービン建屋に流れ込む大量の汚染水からの核種除去である。ようやく安定に稼働しはじめたばかりのALPSはCs以外の62種の核種を除くものである。では一体Csはどのようにして除去されているのだろうか。原発事故当時には1:1の比率で存在していたCs134とCs137の比率は時間とともに半減期の差のために、Cs137の比率が増大した。Csは1価イオンで溶液中に存在する。Cs137は下図のようにβ崩壊でBa137mに変化する。半減期は30.1年である。CsはKやRbと同じくアルカリ金属に分類されるz=55の元素で、反応性に富み水に溶け易い。

 

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 Cs137はチェルノブイリ原発で大量に放出されてヨーロッパの広い地域を汚染した。体内に取り込まれればβ崩壊で被曝が続く。被曝の場合はプルシアンブルーが治療薬として知られている。汚染水の除去には主に吸着現象と固定にイオン交換現象を用いる。

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 Csイオンは1価金属としては大きな半径(1.8Å)が特異的である。このことを利用してイオン半径があう金属イオンと交換させる方法が基本である。吸着剤のゼオライト(上図)の層表面はSiとOの網目状の構造をもっており、網目中の6角形の穴の大きさがちょうどCsイオンの大きさと合うことを利用するとCsを選択的に除去できる。

 

 除去システムの実際は図のように複雑で、油分を分離した後に、2系統のCs除去系(Cs除去装置と第2Cs除去装置)を通した後に、逆浸透膜で塩分を除く。主力はキュリオン社(注)の除去システム、国産のSARRYと呼ばれる吸着装置のタンデム配置によるCs除去システムである(RBBToday)。

 

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 新しい吸着法も開発されており、従来セシウムの吸着に多用されるゼオライトの2桁上の吸着特性を持つ吸着物質が物質・材料研究機構の元素戦略材料センターによって開発された。また日立製作所と日立GEニュークリア・エナジー(日立GE)は、水中に溶解したCsとSrを同時に除去できる吸着剤を共同開発した。これらの新技術がシステム化されればCs除去の効率と安定性が飛躍的に向上すると期待される。CsとSr同時吸着に関する詳細は資料を参照されたい。

 

(注)キュリオン社は米国の原子力ベンチャー企業。AREVA社とキュリオン社のCs除去装置は初期段階で導入されて一定の成果をあげたが、容量不足と安定性に問題があり、国産化されて安定稼働となった。

 

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