金属・有機ハイブリッドナノクラスターで太陽光発電が新展開

未来社会に託された課題は2つあるが、それらは互いに独立したものではない。1つはすでに汚染が進んでしまっている地球環境、とりわけ(排気ガスによる)大気汚染(注1)、次にこの問題を引き起こしたエネルギーをクリーンな再生可能エネルギーに置き換えていくことである。このためには風力と並んで太陽光エネルギーの活用が不可欠である。

 

(注1)地球温暖化につながるとして温室効果ガス(CO2)が槍玉に上がるが、地球温暖化は仮説でアカデミアは懐疑的である。むしろ海洋の酸性化による海産物の絶滅危機が差し迫っている。排気ガスの健康被害はデイーゼルエンジンの排気ガス(NOx)が無視できないため、各国とも法規制で20年以内に使用禁止を考えている。

 

セントアンドリュルース大学の研究グループは金属・有機ハイブリッドペロヴスカイトのナノクラスター(分子性ナノ粒子)を用いて、高エネルギー光子を吸収されやすい低エネルギーの光子2個に変換して効率を高める第三世代太陽電池を開発した(Nature Comm. 8:170 (2017))。

 

金属・有機ハイブリッドペロヴスカイト(CH3NH3PbI3)は効率20%以上を有する新型薄膜太陽電子として注目を集めていた。この材料では効率上限は励起子の閉じ込めによる局在化で限界があったが、研究グループは湿式化学で合成した (CH3NH3)3Bi2I9高配向薄膜の光吸収とフォトルミネッセンスが異方性を持つことを見出した。

またフォトルミ量子収率がバンドギャップの2倍のエネルギーで急激に増大することから、クラスター間電荷移動と局在励起子の結合によって1個の光子が半分のエネルギーを持つ光子2個に変換されることが実証された(下図右。)

下図は量子井戸とマルチフォノン緩和の模式図で、Ehhはヘビーホール状態のエネルギー、E1、E2、E3は伝導体の離散エネルギー準位を表す。ミッドギャップエネルギー準位は終端の有機物に起因する。

 

s41467-017-00261-9

Credit: Nature Comm.

これまで太陽電池のエネルギー効率限界(30%)は吸収光子エネルギーと電子・正孔ペアエネルギーのバランスに依存していた。今回の研究で吸収光子のエネルギーが実質的に1/2にすることができれば30%の効率限界の壁を打ち破ることが可能になる。光子吸収によるキャリア密度を高め、高エネルギー領域のスペクトラムを利用できるからである。

 

 

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