電気熱量効果の応用で大きく変わる冷却技術

教科書に載っているような物理の原理が実用になり、従来の技術を置きかえる21世紀は物理の世紀と呼べるかもしれない。例えば量子暗号技術や量子計算機の一部は市販化されている。

 

電気熱量効果

ここで紹介する電気熱量効果もまたこれまでは基礎科学の域を出なかった物理現象である。電気熱量効果とは誘電体に電場をパルス的に加えると温度が上昇する現象で、これまで応用といえば冷却技術の補助的役割が多かった。下に電気熱量効果による冷却機構を模式的に示した。NとSは絶縁相、電場をかけて実現する超イオン伝導相を意味する。

超イオン伝導相が断熱冷却で冷えて熱量を吸収したあとで、電場を切って絶縁相に戻すと絶縁相となるため熱量は逆方向に移動する。このサイクルは再生可能であるため、このようなサイクルで冷却する素子を再生可能型気熱量効果素子と呼ぶ。1回のサイクルの温度差がわずかでも繰り返すことで、実用的な冷却が可能となる。

 

Fig-1-Schematic-diagram-of-an-electrocaloric-cooling-cycle-considering-FIC-at-T-Ts

Credit: researchgate

 

ペンシルバニア大学の研究グループはこの原理を利用して固体間に温度差を生み出す再生型電気熱量効果を用いた実用的な冷却技術を発表した(Appl. Phys. Lett. 110, 243503 (2017))。研究グループは家庭用AC電源(200V)で動作できるように、セラミック多層構造の誘電体リング(下図)を作成して、実験したところ温度差0.86Kが得られた。リングは12個の素子が配置され逆方向に回転する。素子は高温側に近づく方向では電場がオンになり低温側に近づく場合には電場がオフになる。

2個のリングを回転することによりサイクルを繰り返すことで高温側チップはより高温に、また低音側チップは低温になる。この研究では最小構成(2リング)最大で温度差2Kが得られた。

この原理の特徴は冷却効率と冷却能力が従来の方法に比べて高いこととコンパクト化が可能になることで、将来の市販の冷却装置を置き換える潜在能力がある。

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Credit: Zhang et al. ©2017 American Institute of Physics

 

 

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