新しいIIIV族半導体:GaAsNBi系が切り開く集光型太陽光発電

太陽電池の効率競争によって太陽電池効率は目覚しい進展を遂げ、最高効率はシリコンで26%以上となり単結晶市販モジュールでも16%台が標準となった。一方、IIIV族半導体にもエネルギーギャップ以下(近赤外)の光子を吸収すること(フォトンアップ)によって50%以上の超高効率も可能であることが示され、集光型太陽光発電に有望とされるIIIV族材料に再び注目が集まっている。

 

 

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Credit: kb.lumerical.com

 

高効率化の鍵となるのは上に示されるIIIV族の光学ギャップを制御して近赤外光を吸収させることである。それにはドーピングを超えたIIIV族半導体のバンドギャップ制御が必要になる。GaN成長で一躍有名になったV族のN置換は、GaAsのバンドギャップ制御でも重要である。

 

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Credit: novitas.eee.ntu.edu 

 

しかしGaAsN系の高品位薄膜を成長することは同様な理由で極めて難しい。ミシガン大学の研究グループは近赤外光子を吸収するIIIV族半導体混晶(GaAsNBi)の低コスト製造技術を開発した(Appl. Phys. Lett. 110, 242102 (2017))。

研究グループはこのために計算機モデルとX線回折及びロスアラモス国立研究所のイオンビーム分析装置を組み合わせて、新しいNドーピング法を探索した。研究グループはGaAsNBi系がGaAsN系の問題点である格子不整合をなくし、バンドギャップを低減させることを見出した。

 

V族(As)をNとBiで置換するGaAsNBi系

Bi組成比0.01以上でバンドギャップの減少は〜84meVとSb(21meV)やIn(16meV)より、減少傾向の傾きが大きい。これまでの研究でGaAsNへ取り込まれるBiは少ない(NドーパントとBiが共存するドーピングが難しい)ことがわかっていた。例えばMOVPEではBiによって取り込まれるNドーパント量が減少する。

一方、MBEではBiフラックスを増大させるとNドーピングが可能となることが知られていた。これにヒントを得た研究グループはGaAsNBi系を対象として研究を進めた。ラザフォード散乱、核反応分析(注1)、高分解能X線回折を使い、Bi組成を増やすとドープされるNと(As-Nペアをつくる)格子間のNの比が増大することを見出した。

(注1)高速イオン照射で試料中の軽元素の核反応を起こし発生するα線、γ線を検出することで、軽元素の定量分析を行う方法。

 

最適条件でMBE成長した100nm厚のGaAsNBi薄膜の過剰As濃度は9.8x109/cm3と高品質の成長膜となることが確かめられた。IIIV族太陽電池材料がコスト面でシリコンに及ばないのは素子の複雑な構造によるところが大きい。今回の手法でGaAsの電極層の製造が低コスト化され、集合型太陽電池の研究開発が加速すると期待されている。

 

 

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