デュアル・カーボン・バッテリーの実力

エネルギー密度でLiイオンバッテリーの独壇場が続いている。EVや再生可能エネルギーの蓄電にLiイオンバッテリーで十分として大量生産に踏み切るテスラ−パナソニック陣営に対して、Liイオンバッテリーは未熟なテクノロジーとして様々なアプローチで改良を進める二つのアプローチが好対照である。後者の中でも日本初の新技術であるデュアル・カーボン・バッテリーとはどういうものなのか。

 

デュアル・カーボン・バッテリーとは

パワー・ジャパン・プラスという企業が開発したデュアル・カーボン・バッテリー(DCB)は正極と負極の両方がカーボン素材でできていることからこの名前がついた。DCBはLiイオンパッテリーと同じエネルギー密度を持ちながら遥かに安全で容量の時間変化が少ない。

Liイオンバッテリーの最大の弱点は発火の危険性で、787機の初期の発火事故や携帯端末で相次ぐ発火事故で危険性が知られるようになった。また充放電回数に限度があり寿命はおそそ500回程度以上で特製の劣化が起きる。

DCBは希少金属も使用していないので、製造コストも低い。画期的なように見えるDCBだが、提案されたのは1978年で決して新しいアイデアではない。しかし上記の性能を持つ製品開発には数年を要した。開発の原動力となったのは九州大学と同社の共同研究だった。

 

power-japan-plus 100466799 m

Credit: Power Japan Plus

 

充放電原理(上図)に示すようにLiイオンバッテリーではLiイオンが相手の電極材料に運ばれ、電極材料中に取り込まれるのに対してDCBでは、電極から放出されたLiイオンが途中で陰イオン(A-)に途中でキャプチャされるが、この時陰イオンも電極を離れるので電荷の移動が生じる。

この原理で逆電位を電極に印可すればLiイオンと陰イオンに別れてそれぞれの電極に戻る。重要な点は放電過程でLiイオンが移動しても電極材料と化合物を作らないことで、そのため電極の劣化がないすなわち完全な可逆性が成立する。

そのため下図に示すようにDCBではバッテリー容量のサイクル変化はほとんどない。充放電特性が変化しないことはEVや携帯端末を毎日サイクルを繰り返す用途には最適である。またDCBの充電速度はLiイオンバッテリーの20倍と高速である。

power-japan-plus 100466796 m

Credit: Power Japan Plus

 

DCBはLiイオンバッテリーを置き換えるか

正式名をライデン・デュアル・カーボン・バッテリー(Ryden Dual Carbon Battery)と呼ぶこの製品の大量生産と市場投入で世界のEVと再生可能エネルギー用蓄電システムが発展すると期待されている。バッテリー技術で先端を行く日本ならではの快挙だが、バッテリー市場でものをいうのは生産規模である。ギガファクトリーの建設には8,000億円の資金が必要だった。テスラ社の場合は自社のEV需要で生産量の過半数を消化し、残りを再生可能エネルギーに当てた。国内・国外のEVメーカーに供給するだけでなく新電力にシステムを供給するとなれば、セル生産だけでなく管理システムを同時に組み上げるラインも作る必要がある。

テスラ社がパナソニックと共同で建設しているギガファクトリーだけで世界中のLiイオンバッテリーの生産量を上回る。DCBが対抗するには大規模な生産ラインを整備することが必要だ。再生可能エネルギー企業とのタイアップなど今後の戦略に期待したい。蓄電システムのコストが下がればベース電源化が期待できる。

 

 

You have no rights to post comments

Login

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.