多孔質グラフェンがもたらす電気化学の新展開

カーボンナノチューブ、グラフェンを代表とするカーボン系ナノ物質は特異な電子状態を利用してバッッテリー、電子デバイスや非貴金属触媒への応用が盛んである。特に再生可能エネルギーの普及には貴金属資源を使わない触媒・電極材料としてカーボン系ナノ物質が期待されている。

  

ドーピングとトポロジカル欠陥で修飾した多孔質グラフェン

東北大の研究グループは、ニッケルナノ粒子を加熱して多孔質化した後にグラフェンを蒸着する多孔質グラフェンの作製法を開発した。曲率半径50ナノメートルで湾曲したグラフェン格子がドーパントを取り込みやすい特性を利用して従来の2~3倍以上のドーピングが可能となった。この多孔質ドープグラフェンを用いて高効率水素発生電極を量産すれば低コストの水の電気分解装置用電極が製造できる(Adv. Mater. 2016, 28, 10644)。

 

単原子ニッケルをドープした多孔質グラフェンで水素発生

重慶大学と東北大の共同研究チームは単原子ニッケルをドープした多孔質グラフェンが酸性環境で水分解(水素発生)の高効率触媒機能を有することを見出した。0.5M硫酸溶液中での実測の過電圧とTafelスロープがそれぞれ50mV、45mV dec−1となった。ニッケルと炭素原子間のsp-d軌道間の電荷移動によりC-Ni混成軌道がからとなることで反応性が高められることが計算により確かめられている(Angewandte Chemie 2015, 54, 14031)。

 

触媒への応用では特に脱酸素還元反応やLi空気電池、燃料電池、水の電気分解プロセスにおける酸素・水素発生反応への利用技術として、表面積が大きく伝導性に優れている多孔質グラフェンに注目が集まる。理論的にはN、S、Pの単独ドーピングやN-S、N-Pを組み合わせたコドーピングで最適化した多孔質グラフェンはPt金属同等の水分解触媒活性を持つ。ドープグラフェン(下図)によりグラフェンの電子状態と物性を最適化できるため、化学的ドーピングがナノ物質作製法と組み合わされルことが一般的となった。

 

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Credit: ntechopen.com

 

現在はグラフェンの延長としてグラフェンやシリセン(下図)が新しい電子材料として注目されている。計算機科学の進展でこうした「天然に存在しない」新物質の特性が予想できるようになり、カーボンナノチューブやグラフェンで蓄積したナノ物質製造技術で物質合成も現実的となっている(Sci. Technol. Adv. Mater. 2014, 15, 064404)。

 

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Credit: Sci. Technol. Adv. Mater.

 

 

 

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