Liイオンバッテリーの危険性〜未熟な技術の抱えるリスク

離陸前にサムスンのGalaxy Note7を持っていたら大変なことになる。機内アナウンスで電源オフとして乗務員に渡さなければならないが、離陸が遅れることは必至だからである。ドリームライナー787のユアサバッテリー(注1)発火事故の記憶も新しい中で、看板製品としては考えられない屈辱と53億ドルという巨額な損失を出した発火事故の原因究明の正式報告が行われた。

 

(注1)厳密には充電制御の電気回路(正確には一部の部品)の不良によるものでバッテリーメーカー(ユアサ)の責任ではなかった。Liイオンバッテリーの充電制御は80%までは急速充電、それ以降フル充電までは電流を低くする微妙なソフト制御が必要になる。充電中の事故は制御システムの不良が原因であることが多い。

 

潜在的危険が潜むLiイオンバッテリー

リチウムイオンバッテリーの正極にはコバルト酸化物が、また陰極には黒鉛が使われているが、後者は空気中でよく燃える。そのためリチウムが発火剤、黒鉛が燃料となり、事故が起きると危険な火災につながることは頭に置くべきだがサムソンの場合は何が問題であったのだろうか。

サムソンの事故原因の調査では発火事故はふたつの異なる不良によるものとしている。Liイオンバッテリーで最大の難題は正極と陰極の間のセパレータ(電解質)を薄くかつ破れないようにすることである。サムスンは2016年9月に250万台のGalaxy Note7を回収した際に、事故原因を関連会社から納品されたバッテリー不良としていた。しかしバッテリー供給先を変更しても発火事故が続いたことから、本体の設計不良が疑われるようになった。

今回の発表ではバッテリーが本体のバッテリー収納部分に適合しないためバッテリー端がケースにより変形することが第1の問題である。変形によって電極が折り曲げられ接触する。(下の図)

 

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Credit: Samsung

 

第2の問題はバッテリーの製造過程で正極の半田付け不良で凸部がセパレータを突き破り短絡したこと(下図)としている。この不良はバッテリー製造メーカーの品質管理の問題で、サムソンの責任ではないようにもみえるが、軽量小型の本体に収めるスペースに余裕がなかったことでバッテリー製造にも厳しい仕様となったことも影響している。

 

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Credit: Samsung

 

限界に近いパッケージングに問題があるとすれば将来益々危険度が増大すると考えなくてはならない。時期型Note8が来月、発売されるがここで失敗すればサムスンの致命傷となることは間違いない。

Liイオンバッテリーの安全な使用にはユーザー側にも様々な知識も要求される。正規のチャージャーを無理に高電流充電を流すサードパーテイ製品を用いことは避けるべきである。またパックが膨潤したら注意しなければならない。充放電時間の刑事変化にも注意しなければならないが、よくあるのはバッテリーモニターのソフトの問題である。これには気がつかないで済ませてしまう危険性が高い。負荷とバッテリー消耗の関係を頭に入れて置くことが重要である。またチャージャーはバックアップを持つようにしたい。

 

4Gから5Gで端末のバッテリー要求が増大

現在スマホの通信は3GHzの4G規格であるが5G化が検討されている。特徴は通信速度を上げるためにより10-20GHzという高い周波数帯を利用するだけでなく、VHFからミリ波までのマルチ周波数とアレイアンテナで周波数利用効率を上げることになる。またネットワークもセル半径の異なるシステムを同一エリア内に混在させ、これらを協調して動作させ、ネットワーク全体のキャパシティを大幅に改善することによって、

いってみればスマホを持つ人たちが独自のラジオ局になり街に溢れることになる。通信速度の増大にとも立って消費電力も増大するからLiイオンバッテリーへの要求も厳しくなる。少なくとも発火しても人体に危険のないようにポケットの中に入れることは避けたい。また10-20GHzの電磁波の健康への影響は未知の領域で、電磁波敏感症の人には利便性が快適な生活(Quality of Life)を奪う結果となるかもしれない。

 

Liイオンバッテリーの進歩と電磁波の人体への影響の研究より応用の速度の方が大きい。未熟な技術の応用の先には様々なリスクがあるのはリスクすら認識せずに利便性が関連企業の利益構造と一体化して、社会が流されていくからである。Liイオンバッテリーの危険性とスマホで通信速度を上げる必要性にtしぃて一考を要する時代になった。通信速度を上げると便利になる一方でパケットが増大が必至なのでパケットあたりの料金も下がらなければユーザーに恩恵があるとはいえず、キャリアと端末メーカーだけが恩恵を受けるのかもしれない。

未熟な技術がリスクにつながる背景には販売を急ぐことにあることが多い。サムスンの場合はiPhoneの発売に先駆けるタイミングで開発を急いだ点にある。787も遅れたスケジュールで完成を急いだ結果である。最近の極端に増えているリコールもそうだ。いくら急いでも事故があれば意味がなくなる。

 

 

 

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