カーボンナノチューブでつくる水分解ナノ触媒

ボローニャ大学の研究グループはカーボンナノチューブ上のパラデイウムとTiO2の複合ナノ構造の新型触媒を用いた高性能水分解ナノ触媒を開発した(Nature Commun. 13549 (2016))。導電性の良いカーボンナノチューブ上パラデイウムを触媒とした水分解反応がOH-基親性のTiO2により加速されるシナジー効果により高効率の水分解が可能となる。

新型触媒の特徴はパラデイウムナノ粒子を固定したカーボンナノチューブをTiO2薄膜が被覆した円筒状のナノ構造にある。これまでの研究で水分解の触媒としてプラチナ金属が主流であったが、資源として乏しくまた高価であることや劣化があるなど実用的材料には適さなかった。そのため世界各国で非プラチナ触媒の研究が精力的におこなわれている。

水分解の反応はよく知られているように負極での正孔と水分子から酸素とプロトンの生成と正極でのプロトンへの電子供与が同時に進行する4電子/サイクル反応である。Pd-TiO2複合ナノ構造のパラデイウムイオンが還元されるときに放出される電子でTiO2伝導帯の自由電子密度が増大し活性を高めるため、TOF(Turnover Frequency)で評価される水素発生頻度(H2h-1)が過電圧50mVで15000に達する。

 

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Credit: Nature Commun.

 

TiO2とパラデイウムの複合ナノ粒子の触媒活性についてはこれまで多く報告されている。今回の研究のポイントはカーボンナノチューブを伝導性の高い基盤がわりに使い、複合ナノ構造をその上につくるというアイデアとその合成法である。

FCVが市場に登場した際に市場はHVからEVへのシフトが始まっていたため多くの人は時期尚早との印象を持った。実際、北米でのEVの販売は急速に伸びている。FCVや家庭用燃料電池と燃料電池サーバーはクリーンエネルギーとして期待が高まるが、一方では化石燃料枯渇に備えた畜エネルギーとしての役割も大きい。

シェール革命で原油輸出国となった米国でさえも化石燃料枯渇を警戒し、製造過程も含めるとクリーンエネルギーと分類できなくなるバイオマスと原子力に見切りをつけてか人工光合成で空気中のCO2から燃料エタノールを合成する研究開発を重要視するようになった。また人工葉と呼ばれる電気水分解や光触媒で水素製造にも重点を置く体制をとるようになった。

水素製造は太陽光パネルで過電圧を発生し稼働させルことができる。この原理を利用したのが人工葉である。触媒を用いた電気分解、太陽エネルギーを利用する光触媒、太陽光パネルで電気分解を行う人工葉はクリーンエネルギーを貯蔵でき、燃料電池と組み合わせて安定電源となり得る。

 

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Credit: Nature Commun.

 

種明かしをすればTiO2表面の電子密度を高めたバンドエンジアリングであるが、ナノスケール化で接触面積も同時に増やしたところがポイントである。

こうした積み重ねを継続していけばウサギとカメの理屈でひとつひとつは微力でも水素発生が場所を選ばず24時間稼働することにより、大規模の水素ステーションが必要としない水素社会を構築できるかもしれない。

 

 

 

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