もんじゅ・成田空港・築地市場に共通すること〜見通しの甘さ

羽田空港と成田空港の関係は伊丹空港と関空、中国の虹橋と浦東の関係に似ている。国内線を中心としたローカル空港と拡大する国際線に対応するための関空は、相補的な2空港として両立すべきだとされている。実は東京・大阪と中国の上海の空港事情も似ている。東京と上海市は、どちらも増え続ける航空旅客数に対応するため、手狭になった都心に近い空港を国内向けとして、やや離れた地域に新規に国際空港を建設した。ちょうど同様の理由で日本が成田や関空を建設したのと同じである。

 

羽田と成田の関係

上海の中心に近い上海虹橋国際空港が手狭になると、中国政府は市内から30kmの海に面した浦東地区に浦東国際空港を建設した。浦東国際空港の規模は滑走路4本を有する24時間空港という点でも共通する部分が多い。国内線ハブでありながら国際空港でもある点で虹橋は羽田空港に近い。また浦東国際空港から市内へのアクセスは(地下鉄やリニアもあるが一般客の利用が多い)タクシーで1時間は見なければならない。つまり都心との交通不便さにおいても、国内・国際空港間の行き来が不便である点においても、両者は状況が極めて似ている。

成田の4,000m級滑走路は1本。それに平行な2,500m滑走路1本の2本体制はキャパシテイ不足と言わざるをえない。それでも政府の強引な建設計画によって2009年までに政府方針が変更されるまで、東京国際空港座にあった。建設時に土地買収が不完全で反対運動が根強買ったが、今でも滑走路の増設に支障をきたす原因となっている。

 

遅すぎた羽田の復活

政府はようやく再び羽田空港を東京国際空港として復活させた。その背景には東アジアのハブ空港に旅客を奪われた危機感によるものだった。しかし羽田の発展性には様々な疑問符がつく。それでも羽田は相次ぐ拡張計画で4本の滑走路と3つのターミナルを備えるまでになった。しかし2010年のオリンピックを前に離発着枠の大幅な増大が見込めない。

米国エアラインは予てから羽田離発着陸枠の獲得を望んできたが2国間交渉が遅々として進まず、デルタ航空など一部のエアラインは焦りを隠せない。特に以前からデルタ航空は古くから羽田に乗り入れてきたが、羽田離発着枠の獲得できなかったため、成田空港から撤退し拠点を韓国に移しつつある。日本の空港のハブ機能が失われかねない。原因は日本政府が成田と羽田の両立こだわったことにある。

国内線乗り継ぎと都心への乗り継ぎのハンデイで成田の発展性は閉ざされている。一方で成田は貨物ハブとしての潜在能力は高く24時間オープンの貨物ハブ空港を見込んで、実際に成田貨物量の増大も急ピッチで伸びている。羽田空港は、騒音問題で都心部を低空で飛べない。午前中は東京湾からアプローチ、午後は都心部からアプローチしているが、離発着枠拡大に最大のネックとなる。

キャパシテイを増やすには同時に並行離着陸できる米国のJFKやシカゴ・オヘアのように平行滑走を複数本作り同時に離発着させるしかない。しかし現在も平行滑走は離れたところにつくられている。そのため管制塔が2箇所あるように有効な利用で離発着枠を拡大する障壁となっていて、拡張性にも大きな問題がある。

羽田の当初の設計が拡張を前提にしていなかった。もし成田空港が奥まった陸地でなく木更津の海岸沿いにあれば、両空港を結ぶのも簡単で拡張性は格段に良くなっていたのだろう。反対を押し切って成田空港建設を強行したことの代償は大きかった。日本の誇るメガフロート技術を使えば関空のように埋め立てしなくとも浮かぶ空港の建設が可能で、ロンドンを始め各国でメガフロートの未来型空港構想がある。残念なことに羽田用に建設された1000mメガフロート滑走路実証機は完成してから不採用となり、分割されて各地で浮島になっていた。福島沖に建設された洋上風力発電所は東電が遊んでいたメガフロートを買い取り再利用された。

 

もんじゅ・成田・築地の共通点

築地市場の移転をめぐって行政の不備が浮き彫りになっているが、土木工事につきものの汚職や談合は、今始まったわけではない。不透明性に溢れる日本の建設行政の一端を改めて見せつけられた気がする。振り返ってみれば建設中のダムをめぐる騒動も記憶に新しいが、もっと規模の大きい明らかな行政の失敗がある。「もんじゅ」と成田空港である。前者は1兆円の国費をつぎ込んだのちにようやく廃炉への道を歩みだした。高速増殖炉の放棄より実はもっと重要な核燃料サイクルの見直しを控え、今後日本の原子力行政は大きな転換点を迎えるであろう。

メガフロート空港は先端的な工法だが採算性で見送られた。しかし「もんじゅ」や築地市場移転のように見通しが甘ければ国・地方税が無駄になり返って高額な出費となる。そろそろ目先の採算性で振り回される行政から卒業しなければならない。その試金石が核燃料サイクルの見直しではないだろうか。

 

 

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