カー効果による共振型アイソレータとサーキュレータ

ワットが在籍したことで知られるイギリス国立物理学研究所(NPL)は英国の国立計量標準研究所である。NPLのフォトニクス研究チームは特定方向にのみフォトンが伝わるいわば「光学的ダイオード」と呼べるデバイスを開発した。。

 

研究チームはシリコンチップ上のガラスでつくられたリング型マイクロ共振器に光を導入して閉じ込め、カー効果(注1)を利用して光ダイオード機能を持たせた。リング共振器内ではカー効果(自発的対称性の破れ)により、特定周波数の光が一方向に循環する。

(注1)カー効果(電気光学カー効果)は、物質に電場が加わった際にその物質の屈折率が電場の強さの2乗に比例して変化する非線形光学現象。厳密には下図に示すように複屈折を生じる。

 

slide 2 copy copy

Credit: slideplayer

 

研究チームはこの循環が一方向に限定される性質を利用して>24dBの光アイソレータとサーキュレータを実現した(Del Bino et al., Optica, 5, 279, 2018)。光アイソレータは順方向に進む光のみを透過し逆方向の光を遮断する素子、光サーキュレータは下図(a)のように3個(もしくはそれ以上)のポート(図中のPD1,2,3)を有する構成要素である。

ここでは光がポート2に入力されると3から出力されるが、ポート1から入力されるとポート2に出力される。

 

getImage 1

Credit: Optica

 

このリング共振器デバイスを使うと下図(b)のようにポート2-3の間に、光出力が観測できる。この光ダイオードはフォトニクスのマイクロチップを初めて実現したもので、フォトニクス回路の基本的な構成要素が実証されたことで、本格的なフォトニクス回路が現実的になった。

 

関連記事

ナノ磁性物質のゼロフイールドスイッチング(ZFS)効果

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.