フェムト秒ポンププローブ分光によるCO2配位ダイナミクス

大気中のCO2の還元反応で炭素固定化でカーボンニュートラル燃料を製造することができる。そのため還元反応の触媒研究が活発に行われている。CO2還元触媒は光触媒や人工光合成による太陽エネルギー利用の水素製造と並んで、現在最も注目されている未来技術のひとつである。

 

触媒となる遷移金属へのCO2の配位構造が触媒過程の理解に重要な鍵となる。ボン大学の研究チームは超短パルスレーザーによるUVポンプ・MIRプローブ分光で鉄化合物(フェリオキサレートアニオン)をモデル触媒としてCO2の結合・脱離過程の時間変化を調べた。紫外光励起によってCO2ラジカルの脱離にともなって形成される新しい結合状態など、脱離ダナミクスの詳細な知見を得た(Vohringer et al., Angewandte online Mar. 06, 2018)。

 

UVポンプ・MIRプローブ分光

紫外線で錯体を励起すると配位分子が脱離する(下図)。時間差をつけてIRパルスを照射して脱離分子の時間分解分光することによって、脱離状態の電子状態を調べることができる。テーブルトップTiサファイア超短パルスレーザーの進歩によって現在では100フェムト秒スケールの時間分解実験が実験室で可能になった。

 

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Credit: cchem.berkeley.edu

 

CO2ラジカルは外側に1個の電子を有しており活性が高い。この活性化学種を利用することが還元反応の決め手となる。フェムト秒スケールのUVポンプ・MIRプローブ分光により、光励起後、中性のCO2分子が約500fs以内に錯体から放出されて、屈曲したCO2ラジカルアニオン(還元的に活性化されたCO2) が配位した5座配位第一鉄ジオキサラート(下図)が生成することがわかった。

 

312px Potassium ferrioxalate 2D

Credit: Wiki 

この配位は配位分子が屈曲して酸素原子の一方を介して金属中心に配位している特徴的な構造を持つ。結合の屈曲で局在電子のクーロン相互作用が増大し、エネルギー的に不安定となることが予想される。

超短パルスレーザーとXFELは相互に関連を持ちながら急速に進歩し、電子状態や構造の動的な側面がもたらす反応座標の知見は、第一原理シミュレーションをと組み合わされ、触媒開発を経験的なアプローチから設計指針に沿った効率的なものにシフトした。

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