瞬間写真撮影で明らかにされたイオン風のメカニズム

イオン風の研究の歴史は以外と古い。高圧を印加した電極で空気放電を起こした際に、空気の成分である気体分子がイオン化して電荷を持つと負極に引き寄せられ中性分子と衝突する。このイオン流(イオン風)の正体とメカニズムは簡単そうでありながら、長い間謎に包まれていた。

 

韓国とスロバニアの国際研究チームは荷電粒子の衝突でイオン風が発生するメカニズムを詳しく調べた結果、荷電粒子のみでなく電子がイオン風の生成メカニズムに関わっていることを明らかにした(Park et al., Nature Comm. 9, 371, 2018)。

放電による電離イオン流をイオン風と呼ぶ理由は正電荷(あるいは負電荷)を持つイオン化分子のみがメカニズムに関わると考えられたためである。しかし今回の研究によって電荷を持つイオン化分子とともに(負電荷イオンでなく)電子が関わるため、イオン風という表現は厳密には正しくないことがわかった。

 

研究チームは中性のヘリウム流と異なる電圧のプラズマパルス流にシュリーレン撮影と呼ぶ透明媒体の光学的な「ムラ」を観察する瞬間写真撮影を行った。プラズマパルスの幅と強度を制御した実験で、(負電荷イオンでなく)電子と正電荷イオンが中性分子を動かすメカニズムが明らかになった。

 

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Credit: Nature Comm.

 

この実験は①中性分子とプラズマの相互作用を直接観測し、②正電荷イオンと電子が中性分子を加速するメカニズムを明らかにした。運動量の移動によって荷電粒子が引きずられることで、電気流体力が発生し、イオン風として観測される量の荷電粒子流が形成される。

これまでイオン風は衝突の結果としての運動量の移動と解釈されてきたが、プラズマと運動量の移動の関係は明確なものではなかった。今回の実験で集団的な空間電荷移動で形成される電気流体力がイオン風の原理であることが示された。

荷電流体によって電荷を運ぶ発電、電気流体力学発電(EHD)では従来技術のタービン発電の効率を越える効率の可能性が気体されている。EHDのイオン風から電気エネルギーの変換技術は、例えば米国特許(US8421047)など多くのアイデアが提案されている。

研究チームはイオン風とイオン化分子種の関係を調べ、低温空気プラズマで活性種を選別できる可能性があるとしている。

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Credit: google

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