超伝導単一光子検出器による多光子同時検出

単一光子検出器といえば量子暗通信に欠かせないデバイスだが、最新の研究では少なくとも4光子同時検出が可能であることが示された。デューク大学の研究グループは10年前にはシミュレーションで不可能とされていた多光子同時計測が可能であることを実証した(Cahall et al., Optica 4, 1534, 2017)。

 

研究グループが開発した新型検出器はSNSPD(Superconducting Nanowire Singel Photon Detector)と呼ばれるもので、従来の超伝導単光子検出器の原理にナノ構造を適用したところが鍵となる(下図)。光子吸収で、周囲にホットスポットが形成され、その周囲に電流が流れ超伝導体の臨界電流密度を超えると、ナノワイヤ抵抗が急激に増大する。これによって定電流ワイヤの電圧が増幅され、電気信号として検出される。

 

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Credit: Optica

 

SNSPDは超伝導特性限界の電子が移動する超伝導ナノ導体中ループを持つ。光子が近接領域を通過するとループの電子輸送能力(臨界電流密度)が低下することで、光子の到着が電気信号となって計測される(下の模式図)。SNSPDは世界各国の研究グループが精力的に研究を行っている。マックスプランク研究所の研究グループは臨界電流密度をわずかに下回る電流が流れるNbナノワイヤーアレイに光子が到達すると、超伝導が破壊され常伝導状態に戻ることを電気的に検出する回路を用いて研究を行っている。

 

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Credit: MPI 

新型SNSPDでは光子吸収によって生じる電気的なスパイク形状に注目して解析することによって、少なくとも4光子が重なった波形から4光子を計測することが可能となった。

Credit: Duke University

 

この実験では信号増幅歪みが少ない増幅器が条件で、雑音を減らすため超伝導ナノワイヤーと同じ低温に置かれる新型SNSPDの信号増幅器は市販製品が使える。研究グループは将来的には10-20光子の同時測定が可能だとしている。量子暗号通信では多光子計測が重要となるため、今回の研究によって量子通信分野への応用が期待されている。

 

文献

(1)Graham, Trent M., et al. "Superdense teleportation using hyperentangled photons." Nature Communications 6 (2015).

(2) Dauler, Eric A., et al. "Review of superconducting nanowire single-photon detector system design options and demonstrated performance." Opt. Eng 53.8 (2014): 081907.

 

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