3D原子イメージング(Atom Probe Tomography, APT)について

Atom Probe Tomography(ATP)は市販されている唯一の3D原子イメージング機器である。ナノプローブといえばAFMや最近では放射光X線イメージングが頭に浮かぶが、原子像を観察する分解能はTEMの独壇場であった。APTは単原子程度に迫る高空間分解能で3Dイメージを得る手法である(Miller M.K. et al.: Atom probe field-ion microscopy, Oxford University Press, Oxford (1996))。例えばイオンビーム分析機メーカーとして知られるCAMECA社から市販されている。

 

動作原理はAP-FIM(Atom Probe Field-ion Microscopy)と同じであるが、この手法の持つ欠点(観測領域が狭くいオン計測効率が悪い)が改良され、高輝度FIBと2D検出器によって数nm分解能で高速な測定が可能になったことで、最近、急速に発展した。

 

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Credit: dierk-raabe

試料は前もって上図のように針状に前処理(加工)しておく。超高真空中で電位(10-50nmV-1)をかけられた低温(20-60K)の試料表面(100nm径)の原子は電界効果とトンネル効果で多価イオンとして、放出される。

このイオンの蒸発と到達時のTOF計測を行い、検出器までの距離から質量/電荷比から断面(原子放出面)のX,Y座標に対する径数値が記録される。原子放出面のデータを積み重ねれば3Dトモグラフイデータが得られる、電圧パルスレートは200kHz、イオン計測率は107/hr程度の条件で測定が行われるが、最近では短パルスレーザー(1ns以下)を用いて、高速化も試みられている(Kellogg G.L.: J. Appl. Phys. 51, 1184 (1980))。

 

下に示したAPTイメージでは原子像3Dイメージングの威力が明確に示されている。この空間分解能の3DイメージングはAPTの独壇場と言える。最近では単サイト触媒への応用も成果をあげているJiang K, Siahrostami S, Akey AJ, Li Y, Lu Z, Lattimer J, Hu Y, Stokes C, Gangishetty M, Chen G, Zhou Y, Hill W, Cai W-B, Bell D, Chan K, Nørskov JK, Cui Y, Wang H.”,  Transition-Metal Single Atoms in a Graphene Shell as Active Centers for Highly Efficient Artificial Photosynthesis., Chem 2017;3(1-11)。

 

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Credit:(https://www.mpls.ox.ac.uk/research-section/developing-the-three-dimensional-atom-probe)

 

放射光イメージングの最高空間分解能は7-8nmであるが、まだまだ原子像イメージングには及ばない。今後の放射光の発展を期待したいところであるが、APTをフォトンビームで実現するのは難しい。

 

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