陽子の磁気モーメントを世界最高精度で測定

理研、グーテンブルグ大学(マインツ)、マックスプランク研究所の国際共同研究チームは世界最高精度となる陽子磁気モーメント(2.79284734462核磁子)を決定した(Schneider et al., Science 358, 1081, 2017))。陽子の磁気モーメントは物質構造の基礎となる物理量である。

 

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Credit: hyperphysics.phy-astr.gsu.edu

 

測定精度10億分の1以上が必要となる今回の実験では、まず陽子1個を分離することから始まる。このため研究チームはイオントラップ後に電場をかけて1個のイオンを取り出した。精度を上げる鍵は2つのトラップ間を一個のイオンを往復させるプロセスとなる。

磁気モーメント測定はペニングトラップ中の陽子スピンが磁場に配向させラーモア歳差運動させて周期を計測することで行う。ブラウン・ガブリエル定理にしたがってスピン反転によるラーモア周期と磁場中の陽子サイクロトロン振動数から磁気モーメントが決定される。

 

さらに精度を上げるにはトラップを2個にして(下の写真)、最初のトラップでスピン反転を行い、2番目のトラップでスピン状態を調べる。ラーモア周波数の高精度測定とスピン状態の検出を分離させることによって、世界最高精度の磁気モーメント測定が可能になった。1,264回の実験で3個の陽子をそれぞれ90分間測定した。

 

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Credit: RIKEN

陽子の磁気モーメントを測定するには粒子加速器を用いるかイオントラップでラーモア周期を測定する二つの方法がある。CERNのBASE実験では反陽子に対して磁気モーメント測定が可能となる。今回の結果と加速器を用いた反陽子測定によって、宇宙にはなぜ反物質が少ないのか、という基本的な謎が解明されると期待されている。

 

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Credit: BASE/CERN

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