100ドルのハンンドヘルド・ミューオン検出器

ミューオンは高エネルギー粒子の一般的な検出方式であるシンチレーション検出器が使われてきた。最近では高エネルギー物理以外でも透過性の強い利点を生かしてピラミッドなどの建築物や原子炉圧力容器内の透視など、宇宙線計測以外の応用も盛んになってきた。

 

太陽系外から来る宇宙線が大気と相互作用すると電子よりわずかに質量の大きいミューオンが大量に生成し地球上に降り注ぐ。ミューオンは寿命が短いが地球表面に達したものはエネルギーが高炒め地中深くにまで達する。MITの研究グループはこのほど低コスト(100ドル程度)のポケットサイズのミューオン検出器を開発した。

この検出器はMITの社会支援(アウトリーチ)プログラムCosmicWatchで、電子部品の購入方法、組み立て、更正方法が開示され、誰でも安価に組み立てて使用することができる。この検出器は現在、普及型の低コストミューオン検出器として他に類を見ない存在である(Axani et al., Am. J. of Phys. 85, 948, 2017)。

 

研究グループはもともと南極に設置されている大規模なニュートリノ観測施設IceCubeのPINGUと呼ばれるアップグレードで低エネルギーニュートリノ観測のためのコンパクト検出器の開発を目指していた。これまでは大型の光電子増倍管が用いられることが多かったが、研究グループは超小型プラスチックシンチレーターとアイルランドのSensL社シリコン光電増倍管(注1)組み合わせて超小型の検出器システムを開発した。

(注1)Silicon PhotoMultiplyer

 

front pic

Credit: cosmicwatch.lns.mit.edu

 

この検出器を実際に使って、海面上1cpsのミューオン計数率が成層圏では50倍に増大することが確かめられた。大学や研究機関で宇宙線観測に使われる他、ミューオンCTにも利用することができると期待されている。

またミューオンハンターというウエブサイトは検出器キットを販売しており、ミューオン検出器は今や高校教材となっている。CosmicWatchのような「アウトリーチ」サイトやこうしたキット購入サイトで誰でも一昔前のラジオの組み立てキットレベルで最先端科学機器が手に入る時代になった。

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.