テラヘルツ帯のナノ顕微分光が開発される

 

ブラウン大学の研究グループは新しいナノ分光手法(Laser terahertz emission microscopy, LTEM)を開発した(Klarskov et al., ACS Photonics online October 12, 2017)。LTEMは太陽電池、IC基板を始めとする電子回路の動作や物質科学一般に役立つテラヘルツ帯の局所的分光情報が得られると期待されている。

 

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Credit: ACS Photonics

 

LTEMでは試料をレーザー照射して放出されるテラヘルツ帯の発光を分光する(上図参照)。発光分光の種類は多いが電子状態に関する情報が含まれるテラヘルツ帯の局所分光法は初めてとなる。これまでLTEMの空間分解能は数10μmであったが、この研究では20nmの空間分解能が得られた。空間分解能が1,000倍に向上したことで、ナノスケールの構造体の位置分解分光が可能になった。

新しいテラヘルツ帯の発光分析では赤外領域の顕微分光の空間分解能を向上させる必要があった。開発された装置ではチップで検出する発光の分解能を照射光スポットと同じ程度である。検出部は金属を先端が数10nmまで絞り込まれ、チップはXY方向に移動することができる。

下のイメージは別グループが測定したICのテラヘルツイメージ。大阪大学でも自由電子レーザーを利用した100GHzから30THzまでの領域で、テラヘルツ分光研究が活発に行われている。

 

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Credit: slideshare

 

すでにテラヘルツ分光は半導体から超伝導体、絶縁体に及ぶ幅広い物質や電子回路への応用が始まっている。研究グループはLTEMをペロブスカイト太陽電池に適用して、グレイン境界マッピングを試みる予定である。このような測定で太陽電池材料の電荷輸送への境界の影響が2D観察できるものと期待されている。時間分解テラヘルツ分光も将来は顕微分光になる日が来るかもしれない。下に示したのはマックスプランク研究所グループの時間分解テラヘルツ分光装置。

 

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Credit: qcmd.mpsd

 

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