雷雨による奇妙なγ線バースト現象

2015年12月のある日の早朝に内灘町の海岸に発生した雷雨は奇妙な現象を引き起こした。その日の朝5時、強い雷雨がこの地域に発生し風力発電のタービンブレードに落雷した。同時に強風が観測されている。この雷雨は予想されたものだったが、理解に苦しむ奇妙な現象を伴っていた。

 

奇妙な現象とはこの雷雨はまるで粒子加速器のように強いγ線を地面に打ち込んだことである。1990年代に地球から上空(X線分光衛星)に向かってγ線パルスが放射される地球ガンマ線放射現象(Science  18 Feb 2005: Vol. 307, Issue 5712, pp. 1085-1088)は知られていた。

 

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Credit: NASA

 

しかし2015年に日本で観測された現象はそれとは異なる。方向が逆で地上に向かってγ線パルスが打ち込まれたからである。最新の論文(Bowers et al., Geophys. Res. Lett. online Sep. 17, 2017)でこの現象が科学的に解明された。

論文によれば風力発電のタービンブレードに落雷したと同時に100m秒程度の時間、太陽フレア時に地上で観測される強度の数千倍のフラックス(〜1000ncm-2)の中性子バーストが観測された。この中性子束は地球ガンマ線放射により生じたもので、1kmの高さでの地球ガンマ線放射で発生した1012-1013個の中性子束と考えられる。γ線強度が大きい場合はX線分光衛星で観測される。

 

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Credit: NASA

 

迷走電子の方向が上むきなら中性子束とγ線の放出方向も上むきであるが、雷は平行に放電したり地面に落雷する場合にはその限りではない。

自然現象は時には荷電粒子加速器や核融合プラズマと本質的に同じ側面を見せることは興味深い。

 

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