空港のX線スキャナーに登場する3DX線イメージング技術

ノルウエイの玄関口オスロ空港でX線スキャナーが故障したため乗客の手荷物9万個が飛行機に載せることができなくなった。そのため乗客は荷物を空港に置き去りにして飛行を続ける羽目に陥った。

 

90,000個のバゲッジで空港が混乱

チェックインした荷物がエアラインの手違いで地球の反対側の空港に届いても、翌日にはホテルに届けられる。なので今回のように積み残されても無くなることはないのだが、不自由な旅になったことは想像に難くない。使用頻度が激しい機器なのだが高価なためバックアップがなかったのだろうか。故障したのは古いターミナルのものだったので新しいターミナルのエアライン利用客は影響を受けなかった。

空港ではカウンターでのチェックイン前に空港セキュリテイチェックとは別にX線スキャナーを通す。ところで中国では新幹線駅構内に入る際にもスキャナーを通さなければならない。これ以外にも中国はX線スキャナーを通す機会が非常に多い。そのためX線スキャナーの需要が多いので、製造会社が異常に多い。中には先進的な製品を(ネット通販)で販売している会社もあるほどである。

 

3Dイメージング

高輝度放射光施設の登場で性能(空間分解能)が飛躍的に向上したX線3Dイメージングは、市販の装置でも医療機器を中心に幅広く応用が始まっている。しかし空港のセキュリテイチェック用の3DX線スキャナーを中国の会社(SECUSCAN)が製造しネット販売していることに驚いた。マルチビューat10080と呼ばれるこの装置の空間分解能は3mm(X線アノード電圧160kV、X線管電流0.2-3mA)と実用的な性能である。

下図は測定例で、透視イメージではわかりづらい物体の形状と位置がひと目で観察できる。AIの形状認識とデータベースを組み合わせれば自動化も可能になるだろう。

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Credit: SECUSCAN

 

コヒーレント回折イメージング

最も先端的な3Dイメージング技術がコヒーレント回折イメージングで、これもまた手荷物検査に導入されつつある。ノッチンガム・トレント大学とクランフイールド大学の犯罪捜査研究所が開発した装置をHalo x-ray technologyというスピンオフ企業から販売予定である。

 

HALO fct 1

Credit: Halo x-ray technology

 

Halo社のプロトタイプが製品化されて販売される日は遠くない。これまでのX線スキャナーの欠点はX線透過量が同じだと識別できない点で、例えば爆発物のC4とチーズが同じに見える。しかしコヒーレント回折イメージングを用いれば物質構造が識別できるのでデータベースと比較して正確に同定することができる。これまでは回折線をエネルギー分散検出器で計測していたが、分解能が悪く正確な同定はできなかった。

 

セキュリテイ応用が発展した背景には空港でのテロ多発という現実があるが、急速に増大する乗客の持ち込む膨大な手荷物を正確にかつ迅速にチェックできないと、今回のオスロ空港のように混乱が起きる。X線イメージングの高度化は有効な対策であり、テロ対策でもある。

 

 

 

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