原子共鳴による電磁場の精密測定技術

NISTの研究グループは内部校正で精密に電界強度を測定するEIT(注1)に基づく新しい機器を開発した(J. Appl. Phys. 121, 233106 (2017))。

  

(注1)Electromagnetically Induced Transparency(EIT)はコヒーレント非線形光学のひとつ。光吸収体と2のレーザー(プローブ光、コントロール光)からなる構成でコントロール光で吸収体の原子励起を介して、プローブ吸収体を透明(非吸収)な状態にすることができる(Nature 474, 589 (2011))。

 

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Credit: Nature

 

2つの状態間のエネルギーを持つプローブ光の共鳴吸を考える(上図a)。プローブ光は別の光(コントロール光)が原子を照射した時、一定の条件を満たした時、非吸収(透明)になる。

アルカリ金属でよく知られているライドベルグ状態への遷移を考える。ラジオ波の吸収によって原子がこの状態に励起されるとEIT信号が2つに分裂する(下図)。この分裂は容易に検出することができ電波の電磁場強度に比例する。特殊な条件はいくつかあるが、そのうちの1つのラムダ型ではプローブ光の周波数(ωp)が励起状態aと基底状態gのエネルギー差と共鳴し、コントロール光の周波数(ωp)励起状態aと準安定状態eのエネルギー差と共鳴するような条件(ラムダ型)では、プローブ光とコントロール光の相関により、特異的なラビ周波数を持つ。

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Credit: Wiki

 

NISTの研究グループは露光で700nm幅、350nm厚みのSi-Nに直径数100nmの穴を開けてナノビームを作り、上の原理より複雑な4準位系を用いたEIT実験で周波数分裂を近赤領域で、室温で初めて観測することに成功した。NISTはRFの進行方向に直交する2つのレーザー光(プローブ光と原子励起のためのカプリング光)を用いて、周波数分裂を起こした。

コントロール光の代わりに機械的な振動を用いた。機械的な振動状態がEIT原理で利用できれば、光通信に応用することができると期待されている。またRFの強度を絶対測定(内部校正)する機器への応用も期待されている。

NISTによれば現在、(外部校正ができる)電磁場強度が測定可能な周波数は110GHzまでに制限されるが、EIT原理ではその制限が1THzに拡張され将来の携帯電子機器の周波数に対応できるという。

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Published in: Christopher L. Hollowayet al; Journal of Applied Physics 2017, 121,

DOI: 10.1063/1.4984201

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