SSRF見学記−中国流国産の意味

 中国で稼働中の放射光施設は3カ所である。老舗の北京のBSRF(Beijing Synchrotron Radiation Facility)、同様に歴史あるVUV光源のNSRL(National Synchrotron Radiation Laboratory)、この光源の正式名称はHLS(Hefei Light Source)、と最新鋭の上海浦東地区にあるSSRF(Shanghai Synchrotron Radiation Facility)である。これらの中で先端レベルにあるのは(失礼だが)3.5 GeVのSSRFのみである。ただしNSRLは最近アップグレードにより、ようやく第三世代光源の仲間入りを果たしたので、これについては別の機会に報告する。ここではSSRFについて見学レポートをかくことにする。見学は昨年の8月のシャットダウン中だったので入射器、ブースターリング、蓄積リング、実験ホールと全て見る事ができた。

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アップグレード最新情報-2014.7

 このコラムで放射光源のアップグレードの記事を何本かかいてきたが、2014年7月の時点で、先頭をいくふたつのマシンについて、Bartolini情報を整理してみる。6-8 GeVクラスではESRF、APS、SPring-8ではそれぞれアップグレード計画が進行中である。

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アップグレード-その2:超音速旅客機か新幹線か?

 先に各国の放射光施設で計画中のアップグレードと呼ばれる光源性能の向上計画についてかいた。光源の性能をエミッタンスだけで表現できないが、最も注目されるエミッタンスは〜2桁向上が目安である。この他、コヒーレンスの向上も新たな複数磁石の組み合わせで、期待される項目のひとつである。高エネルギー(5-6 GeV以上)の光源と新たに設計される3GeV光源の性能をNatural emittance(HorizontalEmittance)で代表させて以下に示す。(出典:Bartolini, Diamond, 2014.7)

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新世代放射光の動向ー兆しを読む

 線形加速器ベースの新光源ERLについて本コラムでは、すでに、Kazumichiさんの連載記事で取り上げられている。素粒子実験の加速器やXFELでは(蓄積リングに固有の)原理的な限界を打ち破る線形加速器の優位性が実証され、実績が積み上げられつつある。ビームの質を追求すれば線形加速器にたどり着く。その意味ではその都度、新鮮なビームを供給する点でERLは線形加速器カテゴリに分類される新光源と呼べるだろう。ERLが次世代光源として適当か、また新世代放射光のキーワードになりつつある3GeV光源については、現在、様々な議論がなされている。ここではERL自身の説明は別稿に譲り、対抗馬であるUSR(Ultimate SR)との比較優位性について、また世界のアップグレードの動向から読み取れる兆し(台頭する新世代光源)についてかくことにする。

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放射線で癌を直す加速器治療-BNCTへの期待度

 BNCTとは何なのか。一般的には中性子捕捉療法(Neutron Capture Therapy)と呼ばれる核物理による医療のひとつである。照射された中性子と癌組織に取り込まれた中性子との反応断面積が大きい元素との核反応(注)によって発生する粒子放射線によって、局所的に癌細胞を殺すという原理に基づく癌治療法である。

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アップグレードの経済性-使える物は使うという戦略

 世界の大型科学技術装置でアップグレード計画が推進されている。一般的に巨額の予算を投下して建設された装置は当初の予定をクリアすると、次の課題が見えてくる。多くの場合、新規に大型装置をゼロから建設するより、既存の装置部分を最大限に利用して、アップグレードを行うのが効率的だからだ。

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放射光のパラドックス-その2

 放射光とは何か、またそのパラドックスについては既に書いた。簡単に言うと放射光の性能を追求すると、加速器科学最前線にたどり着くが、ユーザーの要求するマシンは別の軸上に存在し、次第に両者が離れて行ってしまう、という趣旨である。ここではそのパラドックスの背景となる社会の変化に共通の動きが見いだせる、というテーマでかくことにする。

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ドイツ電子シンクロトロンDESY出張記

 先日、ドイツ電子シンクロトロン(Deutsches Elektronen- Synchrotron;DESY)に滞在する機会がありました。ハンブルグ空港からDESY までタクシーで20 分程度という、実験施設としては、素晴らしくアクセスの良い場所にあり、私のようなドイツ以外からの研究者にとって大変ありがたいことです。上の写真は、ドイツの第3 世代放射光施設であるPETRA IIIの建物です。格好いいです。

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