放射光/加速器科学

アップグレードの経済性-使える物は使うという戦略

 世界の大型科学技術装置でアップグレード計画が推進されている。一般的に巨額の予算を投下して建設された装置は当初の予定をクリアすると、次の課題が見えてくる。多くの場合、新規に大型装置をゼロから建設するより、既存の装置部分を最大限に利用して、アップグレードを行うのが効率的だからだ。

放射光のパラドックス-その2

 放射光とは何か、またそのパラドックスについては既に書いた。簡単に言うと放射光の性能を追求すると、加速器科学最前線にたどり着くが、ユーザーの要求するマシンは別の軸上に存在し、次第に両者が離れて行ってしまう、という趣旨である。ここではそのパラドックスの背景となる社会の変化に共通の動きが見いだせる、というテーマでかくことにする。

ドイツ電子シンクロトロンDESY出張記

 先日、ドイツ電子シンクロトロン(Deutsches Elektronen- Synchrotron;DESY)に滞在する機会がありました。ハンブルグ空港からDESY までタクシーで20 分程度という、実験施設としては、素晴らしくアクセスの良い場所にあり、私のようなドイツ以外からの研究者にとって大変ありがたいことです。上の写真は、ドイツの第3 世代放射光施設であるPETRA IIIの建物です。格好いいです。

ERLの利用について

ERLの原理

 ERL(Eneregy Recovery Linac)は超伝導加速空洞を用いた線形加速器を基盤とする放射光源である。回折限界に近いエミッタンスを持つ電子ビームを、そのエミッタンスを保持したまま周回させて、アンジュレターによって放射光を発生させる。その後、エミタンスの増大した電子ビームは、加速される電子ビームと位相をずらせて、再び線形加速器に入射し加速モードと逆位相の減速モードでエネルギーを回収し、これを加速される電子ビームの加速に利用する。最初のエネルギーまで減速した電子ビームは廃棄され、廃棄のエネルギー負荷は小さい。

放射光分光学事始め

40年にわたり放射光研究は気がつけばあっという間のできごとのようだが、研究開始当時を振り返れば難題の山であった。今は昔となった時代の話は役に立つとは思えないが、戦後間もない当時の混乱から一気に世界の先端に躍り出る幸運に恵まれたのも事実である。ここで簡単に当時の様子を紹介したい。

制御された放射線の利用について(第1回)

 放射線は制御されていない放射線源から発生するものと、制御されている放射線源から発生するものに分類することができる。前者は、例えば、放射性同位元素から自発的に放射される放射線で、後者は、例えば、放射光のように人為的に放射される放射線である。ここで言う制御とは、前者は人為的に放射を発生・停止できないが、後者は人為的に放射を発生・停止できると言う意味である。

放射光のパラドックス-その1

 放射光サイエンスの発展とは何かを考えるときに、我々が直面しているのは自然科学の今後の方針に関わる問題で、ひとつの放射光施設の問題ではないように思える。Cutting-edge研究(一握りの最先端研究、国際競争が激しく、最新の放射光施設が必要不可欠)に焦点を合わせるべきか、裾野を含めた最大多数のユーザーが満足する汎用マシンで、性能よりむしろ周辺設備の充実とスループットを高め全体のOutputで勝負するか、のバランスである。

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