放射光/加速器科学

LHCにプロトンビーム復活

 CERNの世界最大の円形加速器LHCに陽子ビームが戻って来た。2015年4月5日は記念すべき日となった。2年に渡るシャットダウンとエネルギー増強のための準備期間、および再スタートへの数ヶ月の準備の後に、LHCが復活したのである。

欧州の大型施設の戦略−LHCから大出力レーザーELIまで

LHC/CERN
 欧州の加速器としてはCERNのLHCが有名である。世界最大の円形加速器LHCはヒッグス粒子発見の偉業を達成した後、2000年に休止してアップグレードに入り2011年から再び稼働した。LHCは周長27kmの加速器で陽子ビームをエネルギー7TeV=7000GeVまで加速し衝突を行なって発生する粒子を複数の検出器で観測する。2020年には高輝度ビーム(注1)でより精密な衝突実験が予定されている他、2030年から33TeV建設計画をCERNは提案している。

(注1)放射光ビームの輝度はBrillianceという単位で計るが加速器ではLuminocityという単位であらわす。

見果てぬ夢(放射光)を追いかけて

 筆者は金属の物性の勉強とスポーツをしたくて東北大物理教室平原栄治研究室に入った。4年次の平原研同期生は、浅見勝彦(金研)、川上正之(鹿児島大)、木下勝雄(川崎製鉄から千葉経済大)、堀内豊太郎(テキサスインスツルメンツ)の諸氏だった。この時分(昭和35年前後)に入学した多くの同窓生は現在も母校の動向に関心があり、また今でもお付き合いさせていただいている。

あいちSR見学記−コンパクト放射光セグメントの意味

 日本の新しいリングは何処か?という質問を海外で外国人から頻繁に受ける。確かにかつての日本は放射光大国であり、放射光バブルの震源地でもあった。基礎科学から産業利用まで幅広いニーズがあったことと、層の厚い加速器研究者層、そして何より採算性より積極的な投資に湧いたバブル景気が一体となった結果だと筆者は思っている。放射光の建設ラッシュがひいた現在でも陽電子治療加速器施設の建設が活発で建設中も含めれば1国で15カ所というのも世界に類をみない。

ミューオンでみる原子炉心

 ミュー粒子(ミューオン)は宇宙線の観測で発見された素粒子で、電子と同じ電荷を持ち206.7倍の質量を持つ。質量は中間子に近いものの、ミューオンんは中間子が崩壊してできる別の粒子である。下の図はミューオン崩壊の模式図。ミューオンは寿命は2.2×10-6秒で電子、反ミューニュートリノ、電子ニュートリノに弱い相互作用で崩壊する。

加速器治療の最前線−Part3 重粒子線治療

 すでにBNCTPart1でリニアックPart2で陽子線照射による癌治療についてかいたが、ここでは重粒子線治療についてかくことにする。一般にX線(γ線)、電子線、中性子線では、表面付近の線量が最も大きく深さとともに指数関数的に減衰するのに対し、陽子線や重粒子線では、表面付近の線量が小さく、粒子が停止する付近で最も線量が大きくなる。このことから患部が皮膚直下でない場合は、陽子線と重粒子線のビーム照射によれば、正常細胞のダメージを少なくした患部に集中した放射線・粒子線治療が行える。

加速器治療の最前線−Part2 陽子線治療

 水素原子から電子をたたき出して得られる1価イオンが陽子(プロトン)である。陽子線とは陽子を加速したビームで、これを癌治療に用いると、ビームエネルギーで決まる特定の深さで放射線量が最大となり、それ以上先に到達しないため、X線治療に比べ、癌細胞へ放射線を集中させることが可能となり、通常細胞へのダメージが少ないといわれる。

加速器治療の最前線−Part1 リニアック

 リニアックとは直線加速器(Linear Accelerator)の略で、日本ではLineac(リニアック)と略す人が多いが、加速器の人から、Linac(ライナック)と呼ぶのが普通だと教えられたことがあった。直線加速器(線形加速器)は加速器の世界では最も基本的な装置である。真空中で電子(粒子)をいわゆる「電場の波乗り」原理で加速する。放射線治療の世界ではリニアックが定着しているので、ここでは医療用の直線加速器をリニアックと呼ぶことにする。

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