放射光/加速器科学

FCC(Future Circular Collider)〜果てしない加速器の挑戦

周長27km、エネルギー13TeVのLHC(Large Hadron Collider)は世界最大の円形加速器である。詳細と成果はこれまでに何度か説明してきたので詳細は省く。ここで紹介するのはその先にあるより巨大な次期ハドロン衝突リング(FCC; Future Circular Collider)である。現在は提案の状況にあるがLHCの成功により欧州と米国を中心に(日本も参画するがILCに軸足がある)、実現性が高くなってきた。欧州経済の減速で財政的には困難なはずであるにもかかわらず、である。

加速器を巡る最近の動き〜新展望が開けるか

加速器関連最大の国際会議IPAC2016(7th International Particle Accelerator Conference)が、釜山で韓国のPAL(Pohang Accelerator Laboratory)がホストとなり現在、開催中である。衝突型加速器から放射光リング、XFEL、産業利用と広範囲な分野の加速器研究者が一堂に会する会議で、国際会議としては珍しく新緑の季節に開催される。

水分子に新しい相を発見

オークリッジ国立研究所はパルス中性子発生源を用いた研究とスパコンによる計算化学により気相、液体、固体のどの相にも属さない新しい相の存在が見出された。ベリルという鉱物(注1)結晶の六方対称の50ナノメートル幅のチャンネルに閉じ込められた水分子の中性子散乱実験が英国のラザフォード・アップルトン研究所で行われた。その結果、低温で水分子は固定されず原子位置が非局在化することがわかった。量子力学的な原子の非局在化には壁との相互作用が影響していると考えられている。

世界最高のX線光源を目指すLCLS2

 

可視領域の高輝度コヒレント光としてレーザー光は理想的であり、半導体レーザーによってレーザーを使う光学機器は科学機器のみでなくDVDプレイヤーやプリンターなど民生品として身近に溢れるようになった。

レーザー発振では、キャビティの中に設置された媒質を励起して両端に置かれた2枚の反射鏡で反射され波長がキャビティ長さの整数分の一となる定常波を外部に取り出す。同様にX線領域でコヒーレントX線を取り出すには自由電子と電磁場の相互作用を使うX線領域の自由電子レーザー(XFEL)となる。

放射光の地域格差は何故存在するのか

分子研のUV-SOR、高エネルギー加速器研究機構(KEK)のフォトンファクトリー、理研と原研が共同で建設したSPring-8の3つの施設が全国の研究者に門戸が開かれ、放射光は日本中に浸透した。これらのリングの建設の経緯は論文(T. Sasaki, J. of Synchrotron Radiation)に譲りここでは詳しく述べない。

テトラクオークは存在するか

老兵は死なずと言われるように役目を終えて後継の施設に道を譲りひっそりと消えていくのが巨大な衝突型加速器である。しかしフェルミラボのLEPができる前まで、世界最大の円形加速器であったテバトロンはちょっと違った。引退したと思われていたそのテバトロンが、再び素粒子科学の最前線に立ったのだ。

標準理論(モデル)を揺るがすLHCb実験

LHCのATLAS、CMS実験によって観測された750GeVのピークの起源についてヒッグスボソンより質量が大きい新素粒子である可能性が憶測を呼んでネットを賑わせている。LHCの別の検出器LHCb(LHC-beauty)がB中間子(メソン)(注1)の崩壊過程が標準理論の予測と外れることを見出した。ATLAS、CMS、LHCbが定説を覆しそうだ。

確度が高まるLHCの新粒子発見

素粒子の世界では加速器のエネルギーフロンテイアが新粒子発見の最先端である。エネルギーフロンテイアはすでに世界最大の円形加速器LHCを最後に2016年に破綻がはっきりしたムーアの法則と同じように、躍進の時代は過去のものとなった。現在のエネルギーフロンテイアにあるアップグレード後のLHCの13TeVに続く、次世代加速器は直線加速器(ILC)となるがエネルギーフロンテイアとは異なる次元の加速器となると考えられている。素粒子物理を支えてきた標準理論(モデル)根底から揺るがす新粒子の兆候がLHCからもたらされた。

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