放射光/加速器科学

加速器新技術によるコンパクトX線源〜その2: 逆コンプトン散乱

MITのGraves、Monctonらの研究グループやSLAC、DESYなど世界各国の加速器研究者が真剣にコンパクトX線光源の開発に取り組んでいる。MonctonはかつてAPSの所長として高エネルギー放射光に取り組んできた大型X線光源の研究者である。

「3GeV放射光」のポテンシャル〜止まない雨はない

ナノ科学の強力なツールとして注目を集める「3GeV放射光」だが、不幸なことに競合するふたつの計画をめぐる混乱で、見通しが立たない状態が続いている。3GeV放射光の特徴は何と言っても軟X線領域の光源強度と程エミッタンスで〜100nm程度のマイクロビーム(厳密にはサブミクロンビーム)が容易に実現できることであろう。ではなぜ軟X線なのかといえばやはり最近、急速に発展してきたフォトンイン・フォトンアウトと呼ばれる高エネルギー分解能X線発光分光法の与える情報量の豊富さにある。

加速器新技術によるコンパクトX線光源〜その1: レーザー・ウエークフイールド

加速器というとLHCのような巨大な施設を誰でも思い浮かべる。最先端のX線光源である放射光やX線レーザー(XFEL)もそうだ。しかし加速器技術の発展によりGeVクラスの加速器が9cm程度の加速官におさまり、レーザーと組み合わせることでテーブルトップのX線光源が実用化されようとしている。

「もつれた」3GeV光源の行方とそのリスク

日本の基礎科学と産業科学技術の将来展望はナノ科学の進展にかかっているが、その強力なツールである放射光のに暗雲が立ち込めている。まずこれまで先端光源として活躍してきた施設が老朽化あるいは陳腐化していることに加えて、最先端の施設Spring-8でさえもアジアの最高輝度光源ではなくなり、ナノ科学の有力な研究手段に必要な軟X線領域の光源性能が国際的な競争力を失って久しいからである。

欧州の未来社会を支える大型研究インフラ

近年、放射光や衝突型加速器などの大型先端科学施設は従来のような一部の先端科学分野の枠を越えて、多くの科学技術と産業までに関わることが増えた。このコラムで大型施設整備が科学インフラとなりつつあることを何度か記事にした。最新のEurophysics Newsでも同様の趣旨の記事が掲載されたので紹介したい。

先端大型施設の整備と予算化について〜コミュニテイ主導型へのシフト

最初に、現在は大型装置の整備に極めて不利な財務省の予算配分方針であることにふれざるを得ない。このことは大阪大学レーザー研高部教授の資料に詳しくかかれているように、今に始まったことではない。2014年度の政府の方針は「GDP1%を目標とする科学技術予算の拡充」であったはずだが、予算要求の伸びと大型施設の整備が必ずしも整合していない。

4つのシナリオで考える国内の放射光の未来

現在、Spring-8の硬X線領域の輝度と分子研UVSORのVUV領域(軟X線)(注1)にギャップがあり、各国の第3.5世代、第4世代リングに2桁以上輝度に差をつけられた状況にある。ナノ科学をはじめ先端研究におけるこの領域の重要性が増しているため緊急にこの領域のレベルアップが求められている。これについては放射光学会が最優先で対処する必要性を学術会議に提言している。 

BASICは中国技術立国の切り札となるか

BASICとは正式名称がBeijing Advanced Sciences and Innovation Center of CASという。CASは中国科学アカデミー(Chinese Academy of Science)で、2014年に創設された北京に本部を置く大型科学技術予算の統括とイノベーションセンターの役割を持つ組織である。これまで個々に科学アカデミー傘下に置かれてきた大型施設のシナジー効果を狙うために創設された。研究施設を一元的に管理して資源配分の重複を避けて効率化するためでもある。

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