放射光/加速器科学

「もつれた」3GeV光源の行方とそのリスク

日本の基礎科学と産業科学技術の将来展望はナノ科学の進展にかかっているが、その強力なツールである放射光のに暗雲が立ち込めている。まずこれまで先端光源として活躍してきた施設が老朽化あるいは陳腐化していることに加えて、最先端の施設Spring-8でさえもアジアの最高輝度光源ではなくなり、ナノ科学の有力な研究手段に必要な軟X線領域の光源性能が国際的な競争力を失って久しいからである。

欧州の未来社会を支える大型研究インフラ

近年、放射光や衝突型加速器などの大型先端科学施設は従来のような一部の先端科学分野の枠を越えて、多くの科学技術と産業までに関わることが増えた。このコラムで大型施設整備が科学インフラとなりつつあることを何度か記事にした。最新のEurophysics Newsでも同様の趣旨の記事が掲載されたので紹介したい。

先端大型施設の整備と予算化について〜コミュニテイ主導型へのシフト

最初に、現在は大型装置の整備に極めて不利な財務省の予算配分方針であることにふれざるを得ない。このことは大阪大学レーザー研高部教授の資料に詳しくかかれているように、今に始まったことではない。2014年度の政府の方針は「GDP1%を目標とする科学技術予算の拡充」であったはずだが、予算要求の伸びと大型施設の整備が必ずしも整合していない。

4つのシナリオで考える国内の放射光の未来

現在、Spring-8の硬X線領域の輝度と分子研UVSORのVUV領域(軟X線)(注1)にギャップがあり、各国の第3.5世代、第4世代リングに2桁以上輝度に差をつけられた状況にある。ナノ科学をはじめ先端研究におけるこの領域の重要性が増しているため緊急にこの領域のレベルアップが求められている。これについては放射光学会が最優先で対処する必要性を学術会議に提言している。 

BASICは中国技術立国の切り札となるか

BASICとは正式名称がBeijing Advanced Sciences and Innovation Center of CASという。CASは中国科学アカデミー(Chinese Academy of Science)で、2014年に創設された北京に本部を置く大型科学技術予算の統括とイノベーションセンターの役割を持つ組織である。これまで個々に科学アカデミー傘下に置かれてきた大型施設のシナジー効果を狙うために創設された。研究施設を一元的に管理して資源配分の重複を避けて効率化するためでもある。

SXSO-DLSRという名のワークショップ

SXSO-DLSRとはThe second workshop on soft X-ray science opportunities using diffraction-limited storage rings が正式名称。SXSOはSoft x-ray science opportuneityの略で、DLSRはdiffraction-limited storage ringを指す。つまり3GeVクラスの第4世代蓄積リングで可能になる軟X線領域のサイエンスの可能性を議論する会議のことで、第2回ということなので出来立ての会議である。

中国が放射光でも列強入り〜満を侍して北京光源に着手

すでに中国経済は減速しつつあり為替レートにも影響が出始めているのだが、不動産・土木建設バブルは急に止めれば成長に大きくすぐには止められないのが現実である。行き過ぎた高層ビル・アパート建設ラッシュは地方自治の汚職の根源となり、近年規制が厳しくなっているが、それでも地方の中核都市は建設の手を緩めるどころか、さらに多くの建設予定地がひしめきあっている。

ドガの女性像に隠された謎の顔が明らかに〜X線イメージング

1920年代から話題になっていたドガの肖像画に隠された謎の女性像がX線でその姿を現した。ドガはバレーの踊り子たちをモチーフにした肖像画で知られるフランス印象派を代表する画家である。

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