放射光/加速器科学

NSLSIIのビームライン整備計画〜第2世代リングの明暗

米国のブルックヘブン国立研究所(BNL)にはJFKから車でロングアイランドエクスプレスウエイ(I495)で行くしかない。この高速は恐ろしく単調でおまけにNY市内から郊外の自宅へと帰宅する人たちのラッシュに重なると、渋滞で運転者の精神的苦痛が大きい。そのBNLにある放射光施設NSLSはユーザーにとって不便な場所にあるにも関わらず、東部を中心とするユーザーの利用率は高く、ユーザーの強い要望を受けてNSLSIIとして更新された。

5nmを切るナノビームが身近に〜多層膜ラウエレンズ

世界で最も小さい硬X線ビーム径(7nm)が得られるビームラインはSPring-8のXU29である。しかし7nmビームは全長1kmの長尺ビームラインを使い、縮小光学系に「大阪ミラー」(注1)と呼ばれる高精度表面研磨多層膜ミラーを使ってようやく達成できる「チャンピオンデータ」であって、一般的なビームライン長で許される収束ビームはせいぜい100nm程度となる。長尺ビームラインの利用は限られており、光学系も形状誤差0.1nmという極限的な仕様との組み合わせは誰でも実現できるわけではない。

オンデマンド放射光となるALSアップグレード(ALS-U)

世界の放射光施設の中でエネルギーこそ1.9GeVと小粒ながらひときわ光を放つALSはアップグレード(ALS-U)で軟X線リングの頂点に立つことを目指しDOE予算獲得への一歩をクリアした。ALSが設置されているバークレイ地区はサンフランシスコの対岸にあり、全米でも有数のアカデミックインフラである。

加速器と磁気浮上列車の接点〜ハルバック配列

クラウス・ハルバックはローレンスバークレー研究所でハルバック型アンジュレータ(Journal de Physique, C1 (1983) 211-216)を開発した物理学者学者で挿入光源のパイオニアとして、第3世代放射光の発展に果たした役割は極めて大きく、挿入光源に携わる研究者で知らない人はいない。

ポーランドの放射光ソラリス

「惑星ソラリス」はポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの「ソラリス」を元に制作された映画で、惑星ソラリスは知性を持つ有機体が棲む「ソラリスの海」(下のイメージ)に覆われた謎の惑星である。「惑星ソラリス」は評価の分かれるやや難解なSF映画であるが、原作はポーランドで人気が高い。

APSアップグレード(APS-U)の狙い〜基礎科学で再興を目指す米国

放射光は現在、6GeVの第3世代リングがESRFを筆頭に順次、アップグレードに入りそれぞれに約1年間の「ブラックアウト」と呼ばれる静寂の停止期間が訪れる。米国の放射光の要と言えるAPSはどのような戦略でアップグレードに望むのであろうか。エネルギー省の予算計画は認められたものの、それは米国が威信をかけて世界一のX線光源となることが条件であった。

放射光の戦略とは

世界の流れが3GeV放射光に傾く中で、中国は6GeVリング3強に近く仲間入りする。老朽化した北京の放射光施設の後継機となるBAPSでは2016年秋から建設が開始され、>6GeVリングは世界で5箇所になる。一方では世界の放射光のリングは3GeVとなっている。

超高性能バッテリーとナノ科学〜放射光の果たすべき役割

EVもFCVもバッテリーで動く車である。つまりどちらも電気でモーターを動かす非内燃機関で駆動する車である。EVの場合はバッテリーの蓄電能力が車の性能、特に航続距離、を左右しFCVは燃料電池の発電能力がこれに相当する。

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