放射光/加速器科学

実現性が高くなったX線回折限界リング

米国とドイツの回折限界リングへの挑戦が活発化している。その推進力の一旦はMAXIVから始まるMBAラテイスの低エミッタンス化の流れである。MAXIVを代表とする3GeV放射光(第3.5世代)への期待はその後、第3世代リングのアップグレードや2GeVクラスのALSアップグレードにまで波及することとなった。

LHCが5個の新粒子を発見

ヒッグスボソンを発見した周長27kmの世界最大の円形加速器LHCは、その後エネルギーを14TeVにパワーアップして実験に取り組んだ。2015年年末にLHC陽子衝突実験で750GeVに相当する質量のピークがみつかった。新粒子は750GeVのエネルギーを持つ2つの光子に崩壊すると考えられる。750GeVピークが他の実験でも検証されれば、1500GeVに相当する質量を持つ新粒子の発見となるが、(筆者の知る限り)その後の進展はなかった。

動きだした3GeV放射光〜もつれの解消に向けて

「3GeV放射光」の建設のもつれは我が国の放射光の未来に暗い影を落としていた。SLiT-JとKEK放射光がどちらも先進的な3GeV計画であったが、どちらかの3GeV光源の建設が優先的に進められるかの決定がなされず、建設提案が一本化していない「もつれた」状態が長く続いた。

NSLSIIのビームライン整備計画〜第2世代リングの明暗

米国のブルックヘブン国立研究所(BNL)にはJFKから車でロングアイランドエクスプレスウエイ(I495)で行くしかない。この高速は恐ろしく単調でおまけにNY市内から郊外の自宅へと帰宅する人たちのラッシュに重なると、渋滞で運転者の精神的苦痛が大きい。そのBNLにある放射光施設NSLSはユーザーにとって不便な場所にあるにも関わらず、東部を中心とするユーザーの利用率は高く、ユーザーの強い要望を受けてNSLSIIとして更新された。

5nmを切るナノビームが身近に〜多層膜ラウエレンズ

世界で最も小さい硬X線ビーム径(7nm)が得られるビームラインはSPring-8のXU29である。しかし7nmビームは全長1kmの長尺ビームラインを使い、縮小光学系に「大阪ミラー」(注1)と呼ばれる高精度表面研磨多層膜ミラーを使ってようやく達成できる「チャンピオンデータ」であって、一般的なビームライン長で許される収束ビームはせいぜい100nm程度となる。長尺ビームラインの利用は限られており、光学系も形状誤差0.1nmという極限的な仕様との組み合わせは誰でも実現できるわけではない。

オンデマンド放射光となるALSアップグレード(ALS-U)

世界の放射光施設の中でエネルギーこそ1.9GeVと小粒ながらひときわ光を放つALSはアップグレード(ALS-U)で軟X線リングの頂点に立つことを目指しDOE予算獲得への一歩をクリアした。ALSが設置されているバークレイ地区はサンフランシスコの対岸にあり、全米でも有数のアカデミックインフラである。

加速器と磁気浮上列車の接点〜ハルバック配列

クラウス・ハルバックはローレンスバークレー研究所でハルバック型アンジュレータ(Journal de Physique, C1 (1983) 211-216)を開発した物理学者学者で挿入光源のパイオニアとして、第3世代放射光の発展に果たした役割は極めて大きく、挿入光源に携わる研究者で知らない人はいない。

ポーランドの放射光ソラリス

「惑星ソラリス」はポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの「ソラリス」を元に制作された映画で、惑星ソラリスは知性を持つ有機体が棲む「ソラリスの海」(下のイメージ)に覆われた謎の惑星である。「惑星ソラリス」は評価の分かれるやや難解なSF映画であるが、原作はポーランドで人気が高い。

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