FCC(Future Circular Collider)〜果てしない加速器の挑戦

周長27km、エネルギー13TeVのLHC(Large Hadron Collider)は世界最大の円形加速器である。詳細と成果はこれまでに何度か説明してきたので詳細は省く。ここで紹介するのはその先にあるより巨大な次期ハドロン衝突リング(FCC; Future Circular Collider)である。現在は提案の状況にあるがLHCの成功により欧州と米国を中心に(日本も参画するがILCに軸足がある)、実現性が高くなってきた。欧州経済の減速で財政的には困難なはずであるにもかかわらず、である。

  

FCCに関する研究発表も多くなってきて現在釜山で開催中の加速器の国際会議でも関連する発表が目立つ。FCCというのはLHCに続くハドロン衝突加速器で新たに周長100kmに及ぶトンネルをlHCの側に建設する。(下の図)その規模はエネルギー100TeVでLHCの7倍、周長で4倍である。

 

CCfcc3 03 14

Source: CERN

 

ところでハドロンにはバリオンと中間子があるが、LHCの衝突実験で用いる陽子も中性子もバリオンである。FCCはLHC同様に陽子―陽子衝突実験(FCC-hh)を行うが、その他に同じトンネルに設置する高輝度(注1)電子―陽電子衝突実験(FCC-eh)とレプトンーハドロン衝突実験(FCC-he)、さらにその技術を用いてLHCのアプグレードを行う(HE-LHC)の実験計画も含まれる。

(注1)高エネルギー加速器実験ではルミノシテイと呼ぶ。放射光では発生する光子の輝度をブリルアンスで表現する。

 

FCCの研究開発項目には、加速器だけではなくトンネルを中心とするインフラ、検出器、データ解析など広範囲の分野の開発が含まれる。FCCの研究開発の中心課題はNb3Snの超伝導磁を用いた16Tの双極磁石の開発である。またバンチビームによる高エネルギーでのハドロン衝突時のバーストを検出できる応答特性を持つ検出システムの開発や超伝導加速空洞が要求される。

FCC国際共同研究チームはCERNがホストとなり2018年度内に概念設計と建設コスト作成を予定している。2014年2月までに26か国75研究所からの参画があった。その中から研究開発チームが組織されて計画がいよいよ動きだす。

FCC予算の一部はEUのHORIZON2020のグラントが使われる。なお中国でも独自にレプトンーハドロン衝突用の周長54kmの円形加速器CEPC/SPPCが計画中である。

 

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Credit: CERN

計画中の円形加速器の周長をILCと比較して下図にまとめた。ILCは30kmの直線加速器でエネルギーはFCCより低いが電子―陽電子衝突実験でFCC-eeと同じ土俵になる。直線加速器では円形加速器より高品位ビームを作り出すことができるがFCC-eeとの比較優位性に厳しい目が向けられるであろう。ILCは米国が関心を示している。こちらは日米の科学技術協力で進み出しそうだが、欧州はLHCからFCCへの展開に軸足を置く。ILCを政治主導で進める前にFCCとの棲み分けを明確にするべきかもしれない。中国はの経済減速が提案されている加速器の建設にどのように影響するのか不透明さが残る。米国や日本も欧州もその影響を免れない中で、FCCの説得力は突出している。

 

Collider copy

Source: Nature

 

 

 

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